7月16日の高校野球 群馬
群馬大会は第6日の16日、2回戦4試合があった。第1シードの関東学園大付は安中総合を退け、第2シードの東農大二は今大会最多の23得点で市前橋を圧倒した。1回戦で前橋商にコールド勝ちした伊勢崎工の京田は大会新の20奪三振を記録し大泉を完封。高崎経済大付は春の県大会に続き太田工を下した。17日は2回戦6試合。第3シードの館林が登場し、全61チームが出そろう。
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マウンドに上がるたび、打席に背を向けてしゃがむ。滑り止めを手のひらでたたいて一呼吸し、胸に手を当ててから前を向いた。大泉のエース箕輪将直(3年)のルーティンだ。こうすれば心が落ち着き、相手を抑えられる気がする。
1回戦で、昨秋県準優勝の前橋商を5回コールドで破って勢いづく伊勢崎工が相手。「甘い球を見逃さずしっかりバットを振ってくる。タイミングをずらして意表を突ければ」と作戦を練っていた。
「軸足のねんざで制球が乱れた」という先発の沼田飛鳥(2年)が二回に4点を奪われ、2死二塁に追い込まれたところで登板。三回以降は得意の変化球で的を絞らせず、要所を締めた投球でスコアボードに0を並べた。
「あとはみんなが打ってくれる」。そう信じて冷静にマウンドに立ち続けたが、20奪三振の大会新記録を打ち出した相手エース京田聖也(3年)を前に、仲間たちは次々倒れた。
それでも、試合後の箕輪の目に涙はなかった。「思い通りの投球ができた。悔いはない」。責任を感じて肩を落とす沼田にも「気にするな」と優しく声をかけた。(松田果穂)