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独特フォームで浦和学院を初回無失点 完敗でも充実の夏

2021年7月16日16時28分

 (16日、高校野球埼玉大会 越谷南1-11浦和学院)

 涙はなかった。額の汗をぬぐうと、まっすぐな目で言った。

 「やりきりました!」

 埼玉大会3回戦の浦和学院戦。越谷南の背番号10、折原瑞望(みずき)(3年)は先発したが、打ち込まれて二回途中で降板した。チームは1―11の五回コールド負け。完敗だった。

 それでも、試合が終わると、充実感でいっぱいだった。

 ちょうど1カ月前。6月16日の抽選会の直後に、永山大夢監督に言われた。「初戦を勝ったら、次の試合は先発でいくぞ」。緊張はあまりしない性格。強豪校を相手にメンタルの強さを買われたが、理由はそれだけではない。タイミングを狂わせるのが狙いだった。

 折原は、テイクバックの時に一度、右手を頭の上で伸ばす独特なフォームで投げる。ひじが下がる癖を直すため、昨秋に改良したものだが、この時に、わずかな「間」ができるため、打者はタイミングを取りづらくなる。

 球にも癖がある。直球の球速を測ったことはないが、「120キロもいかないと思う」。ただ、その球が、打者の手元で微妙に動くのだ。「僕もよくわからないけど、握り方が変なんでしょうね」

 1カ月かけて相手打者を研究し、臨んだこの日のマウンド。「みんな下半身が太くて怖かった」と言いながらも、立ち上がりから低めにその球を投げ込む。一回は先頭から遊飛、三ゴロ。2死から四球、死球、野選で満塁のピンチを招いたが、動じない。次打者を投ゴロに仕留め、無失点に抑えてみせた。

 ただ、相手は春夏あわせて23回の甲子園出場がある試合巧者。二回は、打席の前に立って中堅から反対方向を狙われ、5安打を浴びた。この回途中で降板し、7失点。チームは「折原で四回まで」との作戦だったが、そう甘くはなかった。

 中学時代はアンダースローだった。高校ではフォームを改造する昨秋までは、「投げ方がわからずストライクすら入らなかった」という。そんな公立校の168センチ、64キロの小柄な右腕が、最後の夏に堂々と腕を振った。

 「僕みたいな投手でも、1イニングだけだけど、浦学を抑えられた。あきらめずにやってきてよかった」

 野球はこれで引退し、あすから受験勉強が始まる。「次に投げるときは大学の草野球ですかね」。そのときは、自慢するつもりだ。(山口裕起)

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