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女子野球の現在地 埋もれかけつつ100年紡がれた情熱

2021年7月28日09時00分

 野球のユニホーム姿で、音楽に合わせて軽快に踊る。「まつりの」は、動画アプリ「Tik(ティック)Tok(トック)」で85万人のフォロワーがいる。「何が基準か、自分じゃわからないけど、女子が野球をやっているのが新鮮だったから、多くの人の目にとまったのかな」

 「まつりの」こと、松本里乃(17)は首をかしげて笑う。高知中央高校の3年生。入学する直前から投稿を始めた。「ダンスが好きとか、得意とか、そういうわけでもないけど、楽しいです」

 有明海に面する佐賀県白石町で生まれ育ち、兄2人の影響で野球を始めた。四国の高知中央高に女子野球部ができると聞き、1期生として入学した。「最初はひどかったんですよ。ピッチャーは高校から始めたからストライクが入らなくて。すぐイライラして、周りにも迷惑をかけた」。野球の話になると、表情が真剣になる。

 監督の西内友広(40)から「耐えて勝つ」という指導を受けて地道なトレーニングに励み、球速は入学時から20キロ増の最速124キロを計測した。「相手が戦意をなくすような投球をして、チームに勝利をもたらして欲しい」という監督の期待を伝えると、「もたらしますよ、ふふふっ」と笑った。

 男子の高校野球は100年を超える歴史の中で、商業主義を否定したり、プロともめたりした時期があった。女子野球にはそんな歴史はない。だから、ほとんど制約はなく、スポンサーと契約する野球部もあるし、マネジメント事務所に登録する選手もいる。

 「まずは女子野球を皆さんに知ってもらい、競技人口を増やすこと。学生の本分から逸脱しなければ、SNSもどんどんやって欲しい」と全日本女子野球連盟会長の山田博子(49)は語る。「女子野球を通じ、私たちは女性に優しい環境を整えていきたい」。例えば野球場の更衣室やベンチ裏のトイレは男性用しかない。少しずつ変えていきたいと考えている。

 歴史をさかのぼれば、1915(大正4)年に現在の夏の高校野球大会が始まった後、全国の女学校で野球が盛んになりかけた時期があったという。戦後は女子プロや実業団野球ができて注目を集めたが、ほどなく消滅している。

 歴史に埋もれかけた女子野球はしかし、野球が大好きな女性たちの情熱で細い糸をつなぐ。90(平成2)年に始まった全日本女子軟式野球選手権大会により、昭和から平成へとバトンがつながれた。

 97年、現在の全国高校女子硬式野球選手権大会が参加5校でスタート。今月24日から兵庫県丹波市で熱戦が続く第25回大会(参加40チーム)は、8月22日に初めて決勝が阪神甲子園球場で開催される。

 「歴史が変わった瞬間。これまでの選手、関係者すべての思いが形になった」。クラブチームの選手兼監督でタレントの片岡安祐美(34)はしみじみ語る。自身も甲子園に憧れ、熊本商高時代は男子に交ざって白球を追いかけた。

 2010年に女子プロ野球、13年にNPB(日本野球機構)主催の女子学童軟式野球大会も始まった。女子軟式野球は生涯スポーツを目指し、40歳以上のシニアリーグ創設に動く。野球が大好きな女性たちの情熱は新たな歴史を紡ぎ始めている。=敬称略(おわり)(編集委員・安藤嘉浩)

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