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「妊婦服でベンチ入りしたい」 女子野球界が夢見る未来

2021年7月27日09時00分

 第25回全国高校女子硬式野球選手権大会が24日、兵庫県丹波市で開幕した。参加40チーム(単独38、連合2)の中に11人の女性監督がいる。多くが1990年代以降、少しずつ環境が整備されていった女子野球界で、プレーに打ち込んだ元選手たちだ。

 至学館高校(愛知県)前監督の深沢美和(34)は、出産1カ月前にベンチで采配した経験がある。

 至学館大学と高校の女子野球部監督を兼務していたが、結婚した2015年から大学監督に専念した。翌年に妊娠したが、安定期に入るまでは選手に報告せず、指導を続けた。おなかが大きくなり始めた頃、選手に話した。

 「幸いにも体が大丈夫で、妊娠6カ月ぐらいまではノックも打てたし、遠征バスの運転もできた」。出産まで2カ月を切り、ユニホームを着られなくなった。

 16年10月上旬の全国大学女子硬式野球選手権大会は指揮を執りたい。幸運にもその年は、自校のグラウンドが会場という巡り合わせもあった。

 「マタニティーウェアでベンチ入りしてもいいですか?」。全日本女子野球連盟会長の山田博子(49)に相談した。「無理はしないでね。でも、体調が許すなら、ぜひ実現して欲しい」。背中を押し、ユニホームを着なくても問題がないことを審判委員会などに確認してくれた。

 医者の許可も得て、ゆるゆるのトレーニングパンツを着てベンチに入り、サインも送った。「出産を経験している保護者の皆さんが『監督に重いものを持たせちゃだめ』とか気遣ってくださいました」。大会後の11月20日、第1子となる長女を出産した。

 深沢は静岡県沼津市出身。1歳下の弟の影響で野球を始め、中学時代は硬式の富士シニアでプレーした。だが、思春期に入り、学校で女子たちとわいわい話せず、チームの男子とも距離を感じた。「もう野球なんてしない。女の子と部活動をしたい」。加藤学園高(静岡県)ではソフトボール部に入り、主将を務めた。

 高3の夏、弟の野球部の応援に出かけ、「もう一度、硬式野球をしたいなあ」という気持ちがふっとわいた。中京女子大(現至学館大)に硬式野球部ができると知り、1期生として入部した。

 大学2年になった06年から主将を務め、男子の愛知大学リーグ(5部)に参加。男子チームと対戦を重ね、45戦全敗で卒業した。

 女子プロ野球などでもプレーした後、母校の指導者に。15年に至学館高現監督の鈴木雄太(34)と結婚し、長女に続いて19年3月には第2子(長男)を出産した。今も大学職員をしながら、女子野球部を指導している。

 「監督になったころ、既婚の女性監督はほとんどいなかった。両立は大変だし、悩むこともあるけど、結婚や出産をしても、野球を続けることができる。例えば教え子たちが悩んだ時、選択肢の一つになれたらうれしい」

 女子野球の大会では、指導者や選手がプレーに集中できるよう、子どもを預けられる環境を整えている。「試合が終わり、お乳をあげている選手もいる。それが当たり前な風景になって欲しい」。連盟会長の山田はそう語る。=敬称略(編集委員・安藤嘉浩)

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