7月13日の高校野球 新潟
2021年7月14日04時00分 朝日新聞デジタル
第103回全国高校野球選手権新潟大会は13日、県内4球場で1、2回戦10試合があった。見附は今大会初となる延長戦で長岡農を破った。佐渡勢対決は佐渡が佐渡総合との投手戦を制し、3回戦に進んだ。14日は4球場で2回戦12試合を予定。第3シード新潟明訓、第4シード加茂暁星が登場する。
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佐渡総合のエース・大坂和生(3年)はマウンド上で帽子をかぶり直し、額の汗を拭った。
七回表、同点に追いつかれ、なおも2死満塁。打席には佐渡の1番・金子祐也(同)。小学、中学のチームメートで親友だ。高校に入ってからも両校は合同で合宿し、練習試合は年10回は行う。「お互い全部知り尽くしている」相手だ。
前の打席では三振に仕留めた。絶対打たれたくない。ストライクが取れずにストレートの四球。押し出しで決勝点を与えた。「きわどいコースを狙いすぎてしまった」と悔やむ。
3年前、全国の離島の中学生による全国離島交流中学生野球大会「離島甲子園」で佐渡選抜が初優勝を果たした。金子はそのメンバーの1人。大坂はあと少しのところで選ばれなかった。悔しくて受験期間中も毎日3時間の練習を続けた。
入学した佐渡総合には選抜選手は1人もいなかったが、佐渡には18人のうち9人が進んだ。「高校では選抜選手を超えてやる」。それが目標になった。
捕手だったが、チーム事情で1年秋から投手も務めた。最初は直球とスライダーだけだったが、研究を重ね、今では変化球は6種類にまで増えた。先輩から伝授されたカットボールには自信があり、打たせて取る投球が持ち味だ。
昨夏の独自大会1回戦で佐渡と対戦。二塁手・投手として出場したが、逆転負けし、泣いているところを先輩に励まされた。「借りを絶対に返す」とこの夏に臨んだ。
六回まで佐渡打線を2安打無得点に抑えたが、七回に捕まった。
試合には負けたが、今年は泣かなかった。「終わった感じがしない。明日も練習に行くような気がする」。試合後の整列で、佐渡の捕手で、選抜チーム主将も務めた河原稜太(同)に「次もがんばってくれ」と声を掛けた。あいつらならシード校にも勝てるはず。この先は島のライバルにたくした。(小川聡仁)