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野球部SNS、突然の最終回 新人監督が残したもの

2021年7月13日09時00分 朝日新聞デジタル

 《ペットボトルキャップを薬指と小指にはめたまま投げると、めちゃくちゃ指にかかるようになりました♪》

 野球のピッチングのコツをつかむためのひと工夫をツイッターでつぶやくと、拡散され、500件を超える「いいね」がついた。

 発信したアカウントは「ウエサン@香川県立飯山(はんざん)高校野球部監督」。昨年4月に開設され、日々の練習にとどまらず、野球技術アップのためのアイデア、部員の成長記録を発信した。1年間でツイート数は1739に上った。

 インスタグラムも併用し、ブログに詳細を投稿。丸亀市飯山町にある「無名校」のSNSを使った試みは、野球ファンの心をつかんだ。「新たなヒントをありがとうございます」「試してみます!」といった反応が続々と寄せられた。

 しかし、今年3月末、SNSの一連の投稿は、突然の最終回を迎えた。

 主に発信してきた監督の上田将人(35)の県教育委員会への異動が決まったからだった。

 上田は京都府出身。高校時代から外野手で、広島大では広島六大学リーグのベストナインに選ばれた。社会人野球でもプレーし、8年前に引退した後、妻の故郷の香川で教員になった。

 最初に赴任した石田では自転車競技部の顧問を務めた。2校目で念願の野球部監督の座が巡ってきた。しかし、飯山は2017年の就任当時も部員不足で単独での大会出場すらままならない状況。部員を集めるため、上田は「チームを強くするしかない」と考えた。

 練習は毎日夜8時過ぎまで。厳しさを前面に選手と向き合い、奮起を促した。18年12月、その指導方法が問題視され、4カ月の謹慎処分が下された。

 復帰後は選手との接し方を改め、積極的に声をかけた。そして「自分も野球部の一員」として、選手と同じように目標を立てた。

 「自己最速の150キロを投げる」。社会人野球で投手に挑戦した際の143キロがこれまでの記録。三十路(みそじ)を超えての無謀とも言える挑戦が始まった。

 翌年から始めたSNSでも、自身と選手が目標に向かって練習に励む様子を発信していった。ツイートを見た人が練習を見学しに来たり、ストレッチ器具を送ってくれたりした。

 選手も刺激を受け、モチベーションを高めた。投手の宝智(ほうち)瑛仁(えいと)(2年)は「常にたくさんの人に見られている感覚がして、気が引き締まった」と話す。

 上田自身もマンツーマンで部員と接する機会が増え、個人の技術を底上げする指導が続いた。少人数のチームならではの光景で、SNS発信は部員一人ひとりの成長を見守るものになった。

 「少子化で部員が少ない学校が今後ますます増えてくる。他校にも参考にしてもらえる取り組みにしていきたかった」

 そんな思いを強くしていた矢先、異動が決まった。

 3月30日、上田はマウンドに立った。教え子たちを前に「最後の勝負」と銘打ち、投球を披露。上田は自己最速の148キロをたたき出した。

 「選手たちが想像以上に成長していて、つい力が入りました」。県教委の全国高校総体推進室で勤務しながら思い返すと、今でも笑みがこぼれる。

 「叱っていた時よりも、一緒に目標を持って切磋琢磨(せっさたくま)しあった1年間の方が自分も楽しかった」

=敬称略

     ◇

 〈飯山高校野球部〉 1947年創部。香川大会では2012年と14年に8強進出。近年は急速に部員が減少し、19年春の県大会で善通寺一と初めて連合チームを組んだ。昨秋と今春の県大会も連合チームで臨んだ。現在の正式な部員は8人で、他の運動部からの「助っ人」3人を加え、単独チームで夏に挑む。(谷瞳児)

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