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「今日も見ててね」 野球好きだった祖父に見せた健闘

2021年7月11日14時24分 朝日新聞デジタル

 (10日、高校野球宮城大会 東北7-0仙台一)

 投球練習に入る前、マウンドから空を仰いだ。朝からの曇り空に晴れ間がのぞく。2秒ほど見つめていると、緊張が少しほぐれるのを感じた。「今日も見ててね、おじいちゃん」。仙台一のエース佐藤昴君(3年)は捕手に向き直って、投げ込んだ。

 語りかけた相手は、小学生の時に亡くなった祖父、畠山泰司さん(享年77)。大の野球好きで、遊びに行くといつも野球の話で盛り上がった。兄の影響で小学2年で野球チームに入ると、誰よりも喜んでくれた。

 だが、病気がちだったため、練習の成果を見せられないまま3年後に亡くなった。身近な人を亡くしたのは初めてで、突然の別れは「ショックだった」。

 小さい頃から投手を任された。練習や試合で打ち込まれた時、「投手が下を向いちゃダメだ」と空を見上げるようにしたら、泰司さんがいるように思えた。

 自宅のリビングには泰司さんの遺影がある。試合で家を出る前には、必ず手を合わせている。春の県大会で準優勝したときも、そうだった。

 この日の相手は私立の強豪、東北だ。それでも雲間に青空があったから、「見てくれているな」と気合が入った。マウンドに立つたび、帽子を脱いでおじいちゃんを見上げた。

 二回までは無失点に抑えられたが、三回、低めに決まった得意のスライダーをとらえられてしまった。3点本塁打。流れを取り戻せないまま、7回コールドで敗れた。

 「東北の方が上だった。これまで仲間が打って助けてくれたぶん、今日は自分が救いたかった」。そう目を赤くした。

 家に帰ったら、遺影にお礼を言うつもりだ。大学でも野球を続けるから、「これからもよろしくお願いします」って。(近藤咲子)

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