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練習中に倒れ亡くなった副主将のため 父も見守った熱戦

2021年7月11日09時13分

 (10日、高校野球千葉大会 多古4-5渋谷幕張)

 高く上がった打球が左翼手の頭上を越えた。九回1死二塁、渋谷幕張の打者が放ったサヨナラ打が、2時間50分に及んだ試合に幕を下ろした。多古が一回に先行したが、三回に逆転された。追いついては、突き放される熱戦だった。

 試合後、多古の選手たちの目には涙が浮かんでいた。特別な思いがあった。

 昨年9月、副主将だった實川(じつかわ)太陽君が練習試合中に倒れ、約1週間後、帰らぬ人となった。心室細動と呼ばれる不整脈だった。

 遊撃を守り、打線では中軸を担う中心選手だった。岡野大地主将は、試合で守備のミスをした後、グラウンドに残って黙々とノックを受ける太陽君の姿が印象に残っている。「他人に優しく、自分に厳しかった。選手として尊敬していた」

 太陽君が亡くなり、「練習なんてする気になれなかった」。沈んでいたチームの雰囲気を変えたのは、迫屋昇二監督の言葉だった。「太陽の分までがんばるしかない」。部室に太陽君の写真を貼り、「一緒に甲子園に行こう」と誓った。

 この日迎えた初戦。スタンドでは、控え選手らが、太陽君がかわいがっていた犬のぬいぐるみを抱えて応援した。太陽君の父・貴晴さんは、亡くなってからも、試合にはほぼ欠かさず足を運んできた。「本当だったら太陽もこの場にいたはず」と考え、つらくなることもある。でも、「少しでも恩返しになれば」と最後まで奮闘を見守った。

 岡野主将は試合後、「太陽が誰よりも泣いていると思う。向ける顔がない」と涙をぬぐった。四回から登板し、九回まで投げ抜いた早坂瞳吾(とわ)投手は、「制球が定まらず、自分に自信が持てなかった」と悔やんだ。「太陽なら『いい球いってるよ』って励ましてくれたと思う。俺が打たれた。ごめん」

 貴晴さんは、「ここまで一緒にやってくれてありがたい」と声を詰まらせた。「太陽ならこう言うと思います。『謝る必要なんかないよ。一生懸命がんばったんだから』って」=ゼットエー(藤谷和広)

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