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ミズノ関連会社で働く父「息子に安心して着けてほしい」

2021年7月10日09時00分 朝日新聞デジタル

 【岐阜】鋭いまなざしでヘルメットの内側をのぞく。バットを触り、ひびが入っていないかを確認する。泥だらけになったシューズを雑巾できちんと拭く――。次男が野球を始めてから10年以上、これらを必ず週末にこなしてきた。

 大垣西の主将で三塁手の桑原隆彰君(3年)の父・広明さん(57)は、スポーツメーカー「ミズノ」の関連会社「ミズノテクニクス」(岐阜県養老町)で働く。技術職として、開発された商品の強度確認などを担当している。扱うのは主に野球用具だ。担当になったのは、ちょうど隆彰君が野球を始めたころだった。

 ヘルメットを一定の大きさにカットして力を加え、強度をみたり、模型にかぶらせ、球をぶつけて頭部への衝撃度を確認したりする。近年開発競争が進み、バットは機能重視の「より遠くへ球が飛ぶ商品」を各社こぞって売り出す。「遠くへ球を打ってほしい気持ちもあるけれど、それ以上に安全面が大事です」

 野球用具は高価なものが多く、長く使う球児もいる。「数年後まで安全に使えないとだめ」という思いは、人一倍強い。いつも隆彰君が打席に立つ姿を思い浮かべながら仕事を進めているからだ。

 バット、ヘルメット、グラブ、スパイク、ウェア……。隆彰君が使う野球関連用具をそろえるのも、広明さんの役目だ。バット10本、グラブは5個など、成長に合わせて選んできた。「調子が悪いときに道具を変えると、立ち直ることもある。本人は気づいていないでしょうけどね」

 隆彰君が小1のころから公式戦はすべて観戦し、練習試合にもよく足を運んだ。だが新型コロナウイルスの影響で、保護者が入場できないケースもあり、最近はほとんど行くことができない。「せめてできることを」。そんな思いで用具の手入れを続けている。

 隆彰君は、物心ついたときから自分と兄・康輔さん(21)の野球用具を手入れする父に対し「感謝している」。会話することは少なく、野球についても普段はあまり話さない。でも、いつもきれいな用具を見て、自然に頑張ろうという気持ちになってきた。

 昨春ごろ、プレーがうまくいかないことが続いた。ベンチ入りもかなわず、先輩の補助ばかり。勉強との両立にも悩み、逃げ出したくなった。

 そんなとき、父から好きな黒いグラブを手渡された。「かっこいいグラブ。なじむように使い込もう」。このグラブで、チームメートとキャッチボールを重ねた。「野球が好きだ」という気持ちを思い出し、練習に前向きに取り組めるようになった。

 隆彰君が今夏に使うヘルメットとバットも、広明さんが安全試験に携わったものだ。

 初戦の相手は麗沢瑞浪に決まった。隆彰君は「簡単な相手じゃないけど、最後まで絶対にあきらめない。主将として、プレーでも声かけでもチームを引っ張りたい」と意気込む。

 夏に向けて練習に励む隆彰君の姿を見て、広明さんはいつもこう思う。「もちろん活躍してくれたらうれしい。でも、けがせず無事に試合を終えてくれるのが一番です」(佐藤瑞季)

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