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上・横・下・左から 多彩な投手育成、目先変える継投策

2021年7月13日09時15分

 投手の障害予防のために導入され、今春の選抜大会でも話題を集めた「1週間500球」の投球数制限。この夏、導入されてから初めての選手権大会を迎える。投手の育成や起用法に変化は見られるか。「継投」に工夫を凝らし、強敵を倒したチームもある。

 ■新入部員の投手適性チェック

 梅雨空の下、校庭の狭いグラウンドで山田(大阪)のエース坂田凜太郎(3年)はキャッチボールで右腕を振り下ろした。

 「きれいな回転。ナイスボール」。球を受けた今立尚希(3年)はそう言って、下手投げで返球する。隣では横手投げ、左投げ、スリークオーターとさまざまなフォームの投手陣がボールを投げ合っていた。

 昨秋、大阪の公立勢として26年ぶりに近畿大会に出場した山田は、個性的な投げ方の投手がそろう。足を高く上げたり、クイックで投げたりと下半身の使い方も独特だ。

 金子恭平監督(42)は「うちが正攻法でやっても厳しい。強豪私学に勝つためには、いろいろなタイプの投手が必要になる」と説明する。

 新入部員が入ってくるとまず、投手の適性があるかを確認するという。キャッチボールの際にいろいろな投げ方を試させて、時計の短針と同じ位置から投げるよう指示。「1時」と言えば上投げ、「3時」なら横投げ、「5時」なら下手投げ。

 フォームのバランスや腕のしなりなどを見るといい、2016年の就任時から続けている。

 そこで目をつけられたのが今立だった。中学時代も投手経験はあったが、主に内野手だった。「僕は『4時』の投げ方がしっくりきた。先生に勧められて本格的に投手に挑戦したのは2年秋。今は『4時半』くらいから投げています」

 昨秋の大阪府大会。この急造の技巧派投手が活躍した。アンダースローから110キロに満たない直球を低めに集めて、打者を揺さぶった。中盤からは坂田が救援し、130キロ台の直球で差し込んだ。

 この目先を変えた継投策がはまり、強豪を次々に倒した。3位決定戦の履正社戦は坂田が完投し、逆転勝ち。前年夏の全国王者まで倒す快進撃だった。

 一冬を越えて成長した横手投げの平山誠(3年)や左腕の村井壮伍(3年)も、高校から投手に転向した。ともに「1イニングをしっかり抑えたい」と役割を理解する。継投することで1人の投手への負担も減り、坂田も「心強く、最初から全力でいける。けがもしたことがありません」。

 結果的に「1週間に500球」の投球数制限にも対応できている。

 部員数が減少傾向にある公立校では、エース級の投手を複数育てるのは難しいのが現状だ。それでも、金子監督は「公立でもタイプの違う投手を育成して継投すれば勝負できる。球数も減り、けがの予防にもつながると思う」。初の甲子園をめざし、16日に初戦の大商学園戦に臨む。夏も旋風を起こすつもりだ。(山口裕起)

 ■エースは複数、万全で登板

 星城(愛知)の投手起用の考え方はユニークだ。佐藤充寛・野球部長(33)は言う。「エースは複数。ただし、完投ではなく、継投で戦う。誰がどの順番でも投げられるように準備していきたい」

 500球の球数制限を見据え、一昨年ごろから方針を定めてきた。「いい投手が1人だけいても、愛知で勝ち上がることは難しい。100球近く投げてパフォーマンスの落ちた投手より、万全で登板する投手の方が抑えられるので、その準備をするということ。また、分担することでけがのリスクも低くなる」と同部長は話す。

 けがを極力防ぐために、練習で投げる球数の判断を各自にゆだねているのがチームの特徴だ。自分の体調を一番知っているのは自分、という理由だ。

 エース番号をつける石田将生(3年)は練習で20球だけ、全力で投げる。「球数を毎日変えると無駄な1球をつくってしまう」という。試合前の投球練習でも決まって20球。試合で3イニング以上投げることは、ほぼない。それでも、下半身を中心にじっくり鍛えてきたおかげで、入学時より球速は20キロ上がった。

 190センチの長身右腕・川村珠右(しゅう)(3年)が試合で投げるのは4イニング程度。完投したい気持ちはないという。「9イニング、すべてゼロに抑えればチームは負けない。登板する投手が、そういう気持ちで次につないでいけばいい」

 結果も出ている。昨年8月、後に春の選抜大会で4強入りする中京大中京に快勝。今春の県大会準々決勝では再び中京大中京に勝ち、準決勝で「愛知私学4強」の一角・享栄にも5―6と善戦した。

 甲子園出場経験はないが、今夏の愛知大会ではシードされ、周囲の注目度は高い。チームのスローガンは「甲子園で勝つ」だ。(山田佳毅)

 ■2番手以降が台頭、大黒柱助ける

 今春の選抜大会に出場した柴田(宮城)のエース谷木亮太(3年)は、昨秋の東北大会で投球数制限によって途中降板した。

 準決勝までに481球を投げた右腕は、決勝の仙台育英戦で四回途中に2番手で登板したが、打者6人に投げ終えた時点で計500球に到達。降板を告げられ、チームは1―18で大敗した。地区大会としては全国で初めての適用だった。

 教訓を生かし、チームは昨秋から2番手以降の投手を育成。夏の大会に向け、3年生2人、2年生1人の横手投げ投手が台頭したという。指導する佐藤瞬部長(34)は「ここに来て急成長した投手もいる。谷木が大黒柱に変わりはないが、みんなでつないで谷木を助けられたら」と話している。

 <投球数制限>

 日本高校野球連盟は、2020年春から全ての公式戦で投手1人の投球数を「1週間で500球以内」とするルールを設けた。投手の健康を守るためで、500球に到達した場合(登板中に達した場合は打者との対戦が完了するまで)、それ以上投げられない。降雨などでノーゲームになった試合の投球数もカウントされる。

 今春の第93回選抜大会は投球数制限が導入されて初めての甲子園大会だった。ともに4強に進出した天理(奈良)の達(たつ)孝太と中京大中京(愛知)の畔柳(くろやなぎ)亨丞(きょうすけ)は1、2回戦と準々決勝の3試合をほぼ1人で投げた。達は3試合で計459球を投げたが、161球の1回戦は3月20日だったため、31日の準決勝の投球数には合算されず。一方、1回戦最後の25日に登場した畔柳は、31日でちょうど1週間。3試合分の379球との合算となり、準決勝で投げられるのは121球までだった。

 結局、準決勝で達は登板せず、畔柳は先発を回避。ともに故障が明らかになった。日程による不公平感が明らかになったり、制限さえ守れば大丈夫ではない、という声が出たりと注目を集めた。

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