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SNS効果で1年生5人入部 見えた成長、めざす初勝利

2021年7月13日16時15分 朝日新聞デジタル

 香川大会開幕を控えた7月4日、飯山(はんざん)高校野球部は最後の練習試合に臨んだ。

 6点差の三回無死満塁。迷わず前進守備を敷いた。痛烈なゴロを遊撃手の重光勇河(1年)がさばき、素早く送球。本塁封殺で失点を防いだ。「ナイスプレー!」。ベンチが沸いた。

 助っ人を除く部員8人のうち1年生は5人。その大半が部のSNSを見て興味を持って入部した。前監督の上田将人(35)を中心に3月末まで発信していたツイッターやブログだ。

 重光は、飯山野球部が一つ一つの練習を丁寧にしている印象にひかれたという。「打撃や守備のコツ、体の使い方など細かい技術で自分の知らないことをたくさん発信していた。そんな学校、他にはなかった」

 飯山では練習メニューを部員が決める。主将の小原寛大(3年)が前夜、LINEで練習メニューを募り、部員が投げかける。

 重光は5月ごろから内野の前進守備を練習メニューに入れるよう提案していた。苦しい場面でこそ積極的に前に出て捕球してアウトにする練習に取り組み、4日の試合ではその成果が出た。「自分でやりたいと思った練習の方が身が入る」と話す。

 4月に赴任した監督の大山剛毅(31)は高校野球の監督は初めて。前監督の部員の自主性や対話を重視する方針を継承しつつ、プラスアルファも期する。練習メニューを選んだ意図は必ず聞く。「少しでもうまくなるために、何が足りていなくて、何をすればできるようになるのか、考えながらやってほしい」と話す。

 飯山は香川県丸亀市の讃岐富士のふもとにあり、グラウンドの周囲にはヒマワリ畑が広がる。

 「集合!」。小原の呼びかけで部員8人が駆け出し、小さなホワイトボードを囲む。実戦形式のノックの指示も主将の役割だ。

 野球部に小原の同級生はいない。地元の飯山中学出身だが、仲間の多くは高松の強豪校などに進学した。「寂しい気持ちがなかったわけではない。でも学年の垣根なくやれて楽しい」。小原は笑顔だ。

 上級生が引退した後には、いつも部員不足に悩まされた。2年秋には1年生2人と計3人になった。前監督とのマンツーマンに近い練習が毎日続き、動画とSNSを駆使した刺激的で濃密な半年間だった。

 小原は公式戦での勝利は味わったことがない。最も白星に近づいたのは、2年前の香川大会初戦だった。善通寺一に対し、4時間を超える熱戦の末に7対8でサヨナラ負けを喫した。小原は9番右翼で出場し、延長十二回に安打を放ったものの、振り返るたびに悔しさがこみ上げる。

 「先輩たちの足を引っ張っている感覚がずっとあった。あの試合が自分にとって大きなきっかけになった」。小原は全体練習以外にも走り込みやウェートトレーニングの基礎体力強化に取り組んだ。体重は入部当初から15キロ近く増え、今では69キロになった。

 恩師にもその成長を見せた。退任目前の3月30日の練習後のブログで、上田はつづった。「ロングティーはキャプテンが柵越えを放っていました。初めて見ました」

 単独出場できる部員がいない秋冬を乗り越え、春に頼もしい1年生部員を得て、いよいよ夏を迎える。初戦は14日の対高松南。難敵だが、小原は初勝利だけではなく、戦いの先に見られる景色に思いをはせる。

 「最後まで気持ちを強く、自分たちの野球を目指したい。そうすれば何かつかめるものがあるかもしれない」

=敬称略(谷瞳児)

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