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農業する父の背中、心揺さぶられた球児 米袋担ぎ筋トレ

2021年7月9日13時53分

 (8日、高校野球山形大会 村山産0-7山形学院)

 試合に敗れ、相手の校歌を聞いていたら涙がにじんだ。スタンドに、応援に来てくれた両親や学校の同級生の姿を見たら、止まらなくなった。村山産の増川創太主将(3年)は、整列後に泣き崩れ、仲間に抱きかかえられるようにベンチに戻った。「悔しい。もっと野球がしたかった……」

 村山産で野球をすることは、中1のころからの夢だった。山形県河北町にある実家は米やサクランボをつくる専業農家。長男の増川君は「俺が家を継がないと」と思っていた。農業科で学び、放課後は小4から続けてきた野球に打ち込む。それが憧れだった。

 入った野球部の練習は、ほぼ毎日。帰りは午後8時ごろになる。夜遅くに家に帰っても、父の弘樹さん(44)はまだ農作業をしている時があった。それを見ると心が揺れた。「俺が手伝わないといけないのに」

 それでも両親は応援してくれた。忙しい日も、練習試合があれば送迎してくれた。練習後にほおばる、母・美穂さん(44)がつくる新米のおにぎりや果物はとびきりのおいしさ。「良いプレーを見せるのが恩返しになる」。そう考えることにして、筋トレ代わりに重さ30キロの米袋を運んだ。

 先輩たちは昨夏の独自大会でベスト16。それを超えたかった。強打者こそいないが、全員でつなぐ打撃がチームの持ち味だった。振り返れば大会初日第1試合の緊張か、思うように身体が動かず、チームは2安打に抑えられた。「自分たちの野球がしたかった」

 将来は農業大学に進み、実家で就農するつもりだ。今秋から、稲刈りを手伝おうと思っている。増川君の「短い夏」が終わった。(福岡龍一郎)

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