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闘病から復活、熱血指導再び 高崎・境原尚樹監督

2021年7月9日09時00分

 「勝つ気がないなら、2年生に譲ってやれ。そんなんじゃ、みんなに迷惑なんだよ!」。ノックを受ける選手たちの気を引き締める野太い声。日焼けした腕に鋭い眼光。長い闘病生活を経て、全国高校野球選手権群馬大会で2年ぶりに母校・高崎の指揮を執る境原尚樹監督(57)だ。復帰を祝って贈られた特注バットを手に、今日もグラウンドに立つ。

 「やけに疲れやすい。忙しいからかな」。そんな違和感を覚えたのは2019年春。進路指導も受け持つ多忙な日々だった。6月に入ると微熱が続き、せきも出始めた。同僚の勧めで学校近くの内科を受診し、肺炎と診断された。ついでだから、と血液検査も受けた。

 7月、群馬大会の初戦に勝った翌日。携帯電話に見知らぬ着信履歴が数えきれないほど入っていた。6月に受診した内科だった。医師に「白血球の数値が通常の23倍も高い」と告げられた。その足でグラウンドに向かうと、選手たちに「決勝の前には戻るから、勝ち上がってくれ」と伝えた。その翌日、総合病院で白血病と診断された。即日入院。闘病生活が始まった。

 体調が安定している日は腕立て伏せや廊下でのウォーキング。だが、抗がん剤の副作用で免疫力が下がると、発熱や吐き気に苦しめられた。1度目の抗がん剤投与では寛解せず、8月、9月と続けて投与を受けた。

 寛解後も副作用との闘いが続き、11月にはウイルスに目を侵されて何も見えなくなった。眼球への注射を繰り返し受け、不安から精神に変調をきたすようになった。主治医に「本当に治るのか」ときつい口調で尋ねることもあったが、妻と子ども2人が「絶対に大丈夫」と励ましてくれた。

 病室で考え続けることしかできない中、過去の反省ばかりが頭をよぎった。「なぜあの時、選手にあんなことを言ってしまったのか」「勝たせてやれなくて申し訳なかったなぁ」

 年が明けると視力は少しずつ回復。寛解状態は続いていたため、昨年3月下旬に退院を果たした。

 自宅療養を経て、責任教師としてグラウンドに戻ったのは昨年9月。復帰初日、野球部からノックバットを贈られた。スクールカラーのえんじ色の特注品だ。「みんな考えてくれていたんだな、と。認めてもらえた気がした」

 秋の県大会初戦、約1年ぶりに足を運んだ球場の空気を感じると、うれしさがこみ上げてきた。入院直後は本気で死を覚悟した。

 母校赴任から今年で16年目。3年生だった1981年春には中堅手として選抜大会に出場し、2安打を放った。監督としても12年春に母校を選抜大会に導いた。今春、校長に監督への復帰を打診されると、「必要としてもらえるのは幸せなこと」と引き受けた。

 同じ病室で闘病していた人が亡くなったと聞き、再発への不安は続く。一時は10キロ以上減った体重は戻りつつあるが、筋力が落ちたと感じる。「打球が以前より飛ばなくなった。体も痛い。でも、やり続けないと取り戻せないからね」(中村瞬)

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