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女子マネジャーが主将に 監督の「奇策」でチームは成長

2021年7月10日16時27分 朝日新聞デジタル

 三重県立桑名西高校(桑名市)の硬式野球部では今春まで、女子マネジャーの水谷唯花さん(3年)が主将を務めていた。選手ではない彼女がリーダーとなる「奇策」だった。

     ◇

 昨年8月、新チームになって初めてのミーティングが開かれた。「キャプテンを発表する」。水谷さんは中西史一監督(44)の次の言葉に耳を疑った。

 「唯花」。呼ばれたのは自分の名前だった。

 「場をなごませるために言ったのかな」。最初はそう思っていたが、ミーティングは何事もなかったかのように進んでいく。

 「周りの背中を押すつもりでやってくれないか」。戸惑う水谷さんに中西監督は伝えた。真面目な仕事ぶり、人望の厚さを見込んでの主将指名だった。

 就任後、水谷さんは同じ学年だった2年生部員9人に役割分担を提案した。練習メニューを考える係、ミーティングを担当する係、アップを指揮する係。これまで主将がやってきた仕事を分け合うようにした。ミーティングにも参加。一緒に反省したり、チームの目標を決めたりした。

 部員たちとの距離を順調に縮める一方で、歯がゆい思いもするようになった。練習態度が悪くても、誰も注意をしない。「私なんかが言ってもいいのかな」。ためらいもあって、なかなか指摘できなかった。

 秋の県大会ではチームの調子が上がらず、地区予選で敗退。「私がキャプテンだから、こうなっちゃうのかな」と落ち込んだ。

 そんな自身のふがいなさに嫌気がさし、ふさぎ込んでいると、母親から「なんでそこまでやるの」と聞かれた。「部員のため」。思わず口をついて出た自分の言葉にハッとした。「大事なのは部員のためになるかどうか。大好きな部員のためなら何でもやろう」

 「試合の準備はしなくていいの」「あいさつはしなくていいの」――。それからは、気づいたことを必ず口にするようにした。

 そんな水谷さんの言葉の一つひとつに、部員たちも「このままではダメだ」と気付かされた。そして、少しずつチームの意識を変えることに成功した。

     ◇

 春の県大会地区予選。エースの辻虎太朗君(3年)の気迫あふれるプレーを見て、中西監督は水谷さんを呼んだ。「虎太朗をキャプテンにしようと思う」

 誰よりも練習してきた辻君の主将指名に、水谷さんはうなずいた。3月に主将を「卒業」。以降はマネジャーの仕事に専念して、チームを支えている。

 第103回全国高校野球選手権三重大会(朝日新聞社、三重県高校野球連盟主催)は、記録員としてベンチに入る水谷さんにとっても最後の夏の舞台となる。「みんなが試合で頑張っている姿が大好きなんです。少しでも長くみんなと一緒にいたい」(岡田真実)

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