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1人のために引退試合 唯一の3年生、3安打で有終の美

2021年7月8日17時21分 朝日新聞デジタル

 白根高校野球部の部員は3人。9日開幕の山梨大会には参加できなかった。内藤智也君は唯一の3年生。そのひたむきな姿勢に監督や部長が動いた。他校の野球部が協力し、4日に「引退試合」が催され、球場でプレーできることの喜びをかみしめた。

 引退試合があったのは甲府市の山日YBS球場。山梨大会のメイン会場だ。白根の選手は、主将の内藤君と2人の2年生。3人は日川高校とチームを組んで甲府城西高校と対戦した。

 内藤君は1番打者として出場した。七回に左前安打を放ち、二塁走者が生還。先制点を挙げた。チームはこの回3得点とリード。九回に1点差まで迫られたが、逃げ切った。試合後、グラウンドで「このような場を作ってもらって本当に感謝しています」とあいさつ。日川の選手に胴上げされ、スタンドから拍手が送られた。

 昨秋と今春の県大会は他校と連合チームを組んで出場。今大会では、他校は新入生が入って9人以上となり、連合チームは組めなかった。助っ人として他部の生徒にも声をかけたが人数が集まらず、出場を断念した。「覚悟はしていたけど、やっぱり残念」と内藤君。そんな状況を、戸栗哲也監督(48)と塩釜慶部長(38)が日川高校と甲府城西高校の監督に伝えると、「内藤君に高校野球の区切りの場を」と引退試合が企画された。

 引退試合は、保護者やOBらがスタンドから見守った。この日の朝、母(50)に「ヒットを打てるように頑張る」と意気込んだ。結果は3安打の大活躍。「支えてくれた母に打つ姿を見せられてよかった」とはにかんだ。

 野球を始めたのは中学から。少年野球経験者とのレベルの差を感じたこともあったが、「辞めようと思ったことはない。野球が好きだったから続けてきた」。

 そんな内藤君の成長を見てきた戸栗監督と塩釜部長の思いは同じで「内藤を最後の大会になんとか出場させてあげたかった」。2人はともに白根出身でもあり、母校が初めて夏の大会不参加となることに、一層悔しさを募らせた。

 その思いは、試合後のミーティングであふれた。戸栗監督は「試合の土俵すらあがれないのは悔しいよな」と涙を流し、「今日の内藤は、少人数でも一生懸命練習すれば、試合で打てるんだと示してくれた」とたたえた。塩釜部長も「3年間、常に前を向いてやってきたことは素晴らしかった」と言葉を贈った。

 内藤君は山梨大会開幕の9日に山日YBS球場で始球式投手を務める。「ストライクを投げて、いい終わり方をしたい」と意気込む。野球はこれで最後と決めている。これまで支えてくれた人たちへの感謝の思いを、「最後の一球」に込める。(玉木祥子)

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