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マネジャーで入部→主将に 医師の診断を乗り越えて

2021年7月7日08時54分 朝日新聞デジタル

 5月にあった練習試合。

 岩手・高田高3年の金野颯汰君は、マウンドの上で胸を高鳴らせた。ここに立つのは9カ月ぶり。リハビリに耐えた月日がよみがえった。

 「戻ってきたな」

 思えばこれまで、けがとの闘いだった。

 小学3年から野球を始め、中学2年で右ひじの軟骨が剝がれ落ちるけがをした。「高校で野球をやるのは厳しいよ」。そう医師から言われていた。

 続けるのは難しいかもしれない。でもやっぱりとなったときのことを考え、高田高に進んだ。その2年前に久慈高を、夏の岩手大会準優勝に導いた佐々木雄洋監督がいたからだ。

 陸上部をはじめ、他の部活の見学に行ったが、そこにいる自分を想像できない。中3の夏、強豪校を倒したときに味わったような喜びを得られるだろうか、とも考えてしまう。

 野球部に行って、佐々木監督にこう申し出た。

 「マネジャーでいいからやりたいです」

     ◎

 女子の先輩に教わりながら、選手が飲む水やピッチングマシンの準備、ヘルメットの管理をした。

 だが近くで見れば見るほど、野球をしたい気持ちが膨らむ。2年になる直前、ひじの骨を削り、痛みを取り除く手術を受けた。

 1カ月ほどで練習に戻り、新チームになった昨秋には、念願の投手になった。ひじに負担がかからないよう横手投げに変え、決め球で抑えることが楽しくなってきていた。

 その矢先、9月の練習試合でヘッドスライディングをしたら、右肩が動かなくなった。医師の診断はこうだった。「ピッチャーは諦めた方がいい」

 それでも続けたいと佐々木監督に懇願するうちに、涙が止まらなくなった。リハビリの進め方や復帰の時期を話し終え、帰り際にパンと背中をたたかれた。

 「頑張れよ」

 申し訳ない気持ちは膨らんだが、それ以上に頑張る意欲がわいてきた。

 その夜、慣れない左手でノートに書いた。

 「絶対に夏に投げる」

     ◎

 2カ月間、安静にしたあと、投げる距離や速さを徐々に増やし、肩を慣らした。今年3月には、ほぼ元通りに投げられるようになった。

 4月には、さらにうれしい驚きが待っていた。佐々木監督から主将に指名されたのだ。「けがをしても努力しつづける姿勢が、チームにいい影響を与えている」。そう理由を告げられた。

 県内全61チームの主将が集まり、6月24日に開かれた組み合わせ抽選会で、7月7日の開幕試合を引き当てた。

 「自分のためでもあるけど、支えてくれた人たちの思いに応えたい」

 3年間憧れ続けたマウンド。そこに立つ準備はもうできている。(西晃奈)

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