7月6日の高校野球 福岡
2年越しの思いを込めた「夏」が始まった。第103回全国高校野球選手権福岡大会は6日、5球場で開幕。新型コロナ対策で開会式の代わりに行われた開始式で、5人の主将が選手宣誓した。1、2回戦の計11試合があり、シード校の八幡が小倉工に初戦で敗れる波乱もあった。2019年創部の福岡大若葉は夏の初勝利を飾り、柏陵は延長12回の接戦を制した。
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「足を使ってくるぞ」。七回表1死一塁。小倉工の捕手、高内翼君(3年)は警戒を強めた。一塁走者は粘った後に四球を選んだ八幡の1番打者。前の出塁でも盗塁を仕掛けてきた。
3点リードで迎えた終盤で、得点圏に走者を進ませたくない場面。1ボール2ストライクからの4球目、走者がスタート。打者が空振りして三振すると、高内君は素早く正確な二塁への送球で走者を刺し、相手の反撃の芽を摘み取った。
練習ではチームの投手全員の投球を受けて、特徴をつかんだ。後ろにボールをそらさず、盗塁を刺せる捕手にと、早朝から捕球や送球の練習にも取り組んだ。
この日は3人の投手をリード。8安打を許し、3四球を与えたが2点に抑えた。「すごく成長した」と牧島健監督が評価する頼れる捕手が、今夏の初勝利に大きな役割を果たした。(吉田啓)