スポーツブル(スポブル)

スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

4番の「道具職人」、最後に初の長打 夏は裏方で支える

2021年7月10日13時00分 朝日新聞デジタル

 〈自分への約束 4番の仕事をしっかりする〉

 「控え球児らの晴れの舞台に」と始まった「桃太郎リーグ」の試合を翌日に控えた4月17日夜。岡山学芸館の光本歩広(あゆむ)君(3年)は、自宅でA4判の紙にゆっくり書いた。すると緊張が少し和らいだ。

 岡山学芸館はリーグ戦に3年生だけで挑んだ。「自分への約束」は選手を奮い立たせるためのコーチ陣の発案。瀬戸内市のグラウンドには保護者や、野球部の下級生70人近くが応援に集まった。ベンチには3年生の「約束」が所狭しと貼られ、「栄冠は君に輝く」のメロディーが流れた。

 金光学園を相手に、光本君は「4番、左翼手」で先発。初回、二、三塁の好機に、中前へ適時打を放ち、岡山学芸館に先制点が入った。

 それでも「4番だから、デカい1発が欲しかった」という。思い描いた打球が飛んだのは六回。走者一塁で、右中間を破る三塁打を放った。高校野球では、練習試合も含めて初めての長打だ。三塁上からベンチの3年生へ、拳を突き上げた。16―0の勝利。3校でつくるブロックのもう1校が参加をとりやめたため、岡山学芸館の桃太郎リーグはこの1試合で終わった。

     ◇

 「野球道具の管理なら光本。様々な状況で『気づき』ができ、人のために動ける」。岡山学芸館の佐藤貴博監督(38)は光本君の貢献をこうたたえる。

 バットやグラブ、ボールなどへの強いこだわりは1年生の頃からあった。

 選手として芽が出ない日が続くなか、野球道具の管理を自ら担うようになった。練習の前後に、黙々とグラブの修理やバットのグリップを巻き替える。「誰かがけがをしたらチームが困るから」。「道具職人」としてチームになくてはならない存在となった。

 「道具をいじるのが好きになってしまって。これが僕のルーティン」。選手として練習は続けているが、「裏方」の意識は強い。

     ◇

 桃太郎リーグ参加が決まった後、岡山学芸館のコーチ陣はメンバーとなる3年生に、守備や打順の希望を聞いた。「4番がやりたいです」。公式戦のメンバーに入ったことがない光本君は希望した。自分のバットで一番得点に絡めると思ったからだ。その願いを、コーチたちはくんでくれた。

 3安打4打点。「4番の仕事」という自分への約束は果たせたと思う。楽しめた。本気でやれた。選手への未練はもうない。

 「好守備やヒット、得点、勝利。野球の楽しさとは、それらをみんなで共有すること」。最後の夏に向け、いつもより念入りに道具の手入れに取り組む。甲子園の土を踏み、ボールボーイをする日が来るのを楽しみにしている。(雨宮徹)

関連記事

アクセスランキング

注目の動画

一覧へ