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レギュラーではない主将たち 悩んだ末に見つけた役割

2021年7月11日13時00分

 ■昌平の岸望樹主将

 選手らは満面の笑みで叫んだ。「次、望樹(みさき)さん来い!」

 昨年9月30日、県営大宮球場。秋の県大会決勝で春夏秋を通じて初めての優勝を決めた昌平の岸望樹(3年)は、監督の黒坂洋介(46)の次に胴上げの輪に呼ばれ、宙を舞った。大会で一度も打席に立っていなかった岸は、部員の投票で選ばれた主将だ。

 黒坂は岸について「クソがつくほどまじめ。主将になってしばらくは、こちらが冗談を言っても笑わないほどガチガチだった」。部員らも「本当にまじめ。技術うんぬんの前に望樹が主将をやるのが自然だと思った」と口をそろえる。

 だが、岸はずっと悩んできた。

 控え選手の自分が、初の甲子園もうかがうチームで主将をやっていいのか。主将だから背番号がもらえて他の選手の枠を奪っているのではないか。そんな申し訳なさが消えなかった。先代の主将は1年の時からメンバー入りしていた。

 でも、主将がみんなの前で迷いを見せるわけにはいかない。試合では黒坂の隣に陣取り、つぶやきを聞き逃さず選手に伝える。ピンチにタイムを取り、伝令に走る。練習でも率先して声を出す。「望樹があんなにやってるなら俺らもやらなきゃ」。そう思ってもらいたかった。

 部員らの前で涙を流した日がある。コロナ禍で部活ができない冬が明け、チームが低迷していた春の大会前、練習中の主軸選手の私語を黒坂が叱ったときだ。「お前ら、もっとしっかりしてくれよ」「俺だってつらいんだ。プレーで引っ張れねぇからきつく言えねぇし……」

 練習試合で黒星続きだったチームの雰囲気が変わった。春の県大会は4強。「プレー以外でもチームを引っ張れるんだと証明したい」。本格的な野球は、この夏が最後と決めている。

■市川越の中山雄仁主将

     ◎     

 「主将なんだから、うまくならなきゃ」。市川越の中山雄仁(3年)には、そんなプレッシャーが確かにある。

 監督の新井清司(65)は「『人物』で主将に決めた」と言うが、「相当重荷なんじゃないか」とも感じていた。生真面目さと責任感から、中山が自分の技術向上を後回しにしてチームをまとめているように見えた。昨秋も今春も、中山はスタメンから外れた。

 練習前の空き時間、他の選手が自分の課題の確認などに費やしている傍らで、中山は新井の指示をみんなに伝えたり、後輩に指導したり。「主将じゃなかったら、もっと自分のことに集中できたのかな……」。やめたいと思ったことは正直何度もある。でも、「自分ができていないのに指示だけ出す主将ではいたくない」。誰よりも声を出し、遅くまで黙々と自主練習をするのが日課だ。

 「来てくれると安心する」と話すのは遊撃手の古賀功汰(3年)。中山は試合では伝令として仲間の輪に入り、鼓舞する。「あのチーム強そうだな、いやだな」。相手にそう思わせる雰囲気作りが、主将中山の役割だ。(敬称略)

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