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マネジャーを1年半、再び選手に 観察眼、役立てたい

2021年7月9日16時15分

 2年前の4月、秩父高校(埼玉)に入学し、初めて野球部の練習に顔を出した大久保泰知(たいち、3年)は迷っていた。

 グラブもバットもボールも、触れるのは中学の部活を引退して以来10カ月ぶり。自分の動きはぎこちなかった。硬球も初めて。「高校でプレーするのは難しいかもしれないな」。選手としてやっていく自信が持てなかった。

 それでも、久しぶりの野球は楽しかった。悩んだ末に決心した。「マネジャーとしてやらせてください」

 監督の児玉昌之(59)は驚いた。「1、2回練習に来るだけで入部しない子は結構いる。彼もそのうちの1人かなと思っていた」。十数年の監督生活で初の男子マネジャーだった。

 大久保は当初、「野球部に入るなら選手としてやればいいのに。選手をしないなら勉強に集中したら」と親には言われた。でも、マネジャーをすることに抵抗は全くなかった。

 小学生か中学生のころだった。参加した地域の野球教室で、東京の有名大学の野球部に男子マネジャーがいることを知った。選手の傍らでてきぱきと動く彼らの姿が印象に残っていた大久保に、「男なのにマネジャー」という固定観念はなかった。秩父高校の部員たちも「おう、よろしく!」と自然に迎えてくれた。

     ◎      

 給水用ポットの準備、投球のスピード計測、スコアブック記入、練習のボール出しなど、女子マネジャーの先輩と一緒に、何でもこなした。糸がほつれてダメになったボールを練習用に再利用するため、ビニールテープを巻いて補強するなどの工夫は、自分の好きなことをしていると思えて楽しかった。

 もともと、手先を動かして何かを作るのが好きだった。祖父の家に生えている竹で水筒を作ったこともある。「マネジャーは自分にぴったり」。そう疑わなかった。

      ◎     

 でも、自分の心が変わっていることに少しずつ気づき始めてもいた。きっかけになる強い出来事があったわけではない。自分でも理由をうまく説明できないが、「もう一度選手としてプレーしたい」という気持ちを抑えられなくなっていた。1年の秋に同学年のマネジャーが新たに入部し、「自分がいなくても安心」と思えたのも大きかったかもしれない。先輩の引退後、選手の数が減ったことも背中を押した。2年の秋に選手に転向。チームメートも大歓迎してくれた。

 実際にプレーすると、やっぱり野球は楽しい。体調を崩して休むこともあるし、技術はすぐには上達しないが、素直にそう思った。マネジャーとしてグラウンドを走り回っていたから、体力的にはなんら問題なかった。1年間練習を傍らで見ていて身についた「この選手はこんな特徴がある」と観察するクセは、試合でも役に立つはずだ。一方で選手になってからも、マネジャーが休みの日は率先してマネジャーの仕事をこなした。

 スロースターターは最後まで伸びると信じている。「あともう少し、うまくなれると思う」(敬称略)

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