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長髪だからこそ、より自分に厳しく 丸刈り禁止のチーム

2021年7月13日15時33分

 「おはようございます」。記者が大分東明野球部(大分市)の練習グラウンドを訪れると、グラウンド整備をしていた選手らが一斉に手を休め、深々とおじぎした。帽子を脱いだその頭は、丸刈りではなく、帽子でくせの付いた黒髪があった。

 昨年8月、新チーム発足後初めてのミーティングが教室で開かれた。制服姿の選手らを前に、河野雄監督(42)が切り出した。「丸刈りは禁止にする」。選手たちは一様に驚きの表情を見せた。

 河野監督は続けた。「大分のチームで髪を伸ばすのは珍しい試み。だから、周囲からは厳しい目で見られる。これまで以上に自分たちに厳しくならなければ、髪を伸ばしているから、と批判される」

 大分東明は、スポーツが盛んで、J1大分トリニータのU18の選手の多くが通う。河野監督は「髪形は自由だが、彼らはとても礼儀正しい。間近で見ていて、サッカーのプロチームによる育成が本当にうまくいっていることを痛感する」と言う。

 野球部の選手の大半は、小学生のころから野球をやっていた。「高校野球=丸刈り」という考えは、選手たちの心に深く染みついていた。丸刈りにしたくて「絶対ダメですか」と聞いてくる選手もいたという。

 甲斐一志選手(3年)もその1人だ。小学生からソフトボールをやり、中学生になり硬式野球を始めた。「幼いころから、父親にバリカンで丸刈りにしてもらっていた。ずっと丸刈りが当たり前だと思い、長髪にすることを想像すらしていなかった」と振り返る。

 川見流空(りく)主将(3年)もそうだった。小学3年で野球を始め、中学時代はボーイズリーグのチームに所属した。大切な試合の前には、気合を入れるために同級生10人が全員、丸刈りにしていたという。

 一方で川見主将は「ほかのチームには、中学野球部の丸刈りが嫌で、髪形が自由なボーイズリーグに入った、という選手もいた」と振り返り、「そういう選手には有能な選手も多く、高校生になって丸刈りが嫌で、野球をやめてしまうんですよね」と話す。

 少子化の中、野球人口の減少は深刻だ。大分東明も例外ではない。かつては各学年に20人ほどいた野球部員はいま、3年が13人、2年が5人、1年が9人だ。大分の私立高校が抱える特有の事情もあるという。河野監督は「公立高校のスポーツ推薦枠が多く、野球をやっている子どもたちがどうしても、公立高校に流れていってしまう」と漏らす。

 丸刈りをやめた後、何度も試合はあったが、批判されたり揶揄(やゆ)されたりしたことはなかった。それでも川見主将は「ボールボーイなど球場での手伝いでも、これまで以上に礼儀正しくし、きびきびと動くようになった」と言う。河野監督の目にも、選手たちが自分に厳しく、礼儀正しくなったように映る。

 河野監督は小学2年から野球を始め、高校はあこがれだった津久見に進学。国学院大でも野球部に所属した。「私が最も、高校野球といえば丸刈り、と思ってやってきたかもしれない。でも、いまは丸刈りをやめてよかったと思っている」と話す。

 丸刈りではない姿で臨む、初めての夏。川見主将は「高校生になったら丸刈りが嫌で、野球はやりたくない、と思っている中学生もいるかもしれない。大分大会では、そのような中学生があこがれるようなプレーや立ち振る舞いをしたい」と笑顔で話した。(倉富竜太)

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