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元ラグビー部員が野球部マネに 部活漬けでも成績アップ

2021年6月30日17時11分

 「ヤジーが大変なことになってる!」

 今月上旬、我孫子(千葉)に6人いるマネジャーで唯一の男子、矢島啓裕(3年)が、突然、丸刈りになって現れた。驚くチームメートに矢島は、「赤点をとったから」とおどけてみせた。

 本当はそんな理由じゃないことはわかっていた。主将の山口大智(同)は、「みんな『ヤジーが一番最初に、夏の大会に向けて気合を入れてきたな』って思った」と笑う。

 ヤジーは練習でノックもするし、審判役もやる。山口は「ヤジーはチームにとって癒やしっていうのかな、欠かせない存在です」。彼が野球部に来たのは9カ月前のことだった。

 2年生時の夏休み、母親から「話があるから学校に来て」と矢島に電話がかかってきた。学校に二者面談に行ったはずだった。

 何を言われるんだろう。不安な気持ちで教室に入ると、担任教諭の河本潤吾が開口一番、「野球部のマネジャーをやってみないか」。矢島は驚いた。河本は「まあ、夏休み中にゆっくり考えなよ」。

 矢島は、1年生の一昨年12月、ラグビー部を辞めた。先輩に勧誘されたこともあり、経験がなかったが入部。しかし、体重50キロ前半のきゃしゃな体に、激しい競技はこたえた。

 帰宅部になってからは、「ぐーたらしていた」。学校の成績の順番も後ろから数えた方が早いほど。自宅では、野球ゲームばかりやっていた。祖父の影響で、幼い頃からプロ野球をみるのは好きだった。

 2年で担任になった河本は野球部顧問。母親に自宅での様子を聞いて、「そばで見守りたい」とマネジャーに誘ってはみたが、矢島の戸惑った様子を見て、期待はしていなかった。

 しかし、夏休み明けの初日、矢島は「やらせてもらってもいいですか」。卒業まで時間もないし、何もやらないよりは、と考えた。まずは1週間の体験入部をすることになった。

 矢島が初めて野球部のグラウンドに来る日、「元ラグビー部の男子マネジャー」を待ち受ける部員らはそわそわしていた。「男子のマネジャーは初めてで、どう接していいか戸惑った」と山口は振り返る。

 矢島にとって、部員の飲み物作りや、壊れたボールの修復といったマネジャーの仕事は、これまでになく「楽しかった」という。体験入部の1週間が経った練習後、グラウンドで輪になって集まった部員に言った。「自分は何でもするんで、仕事頼んで下さい」

 チームメートと打ち解けるのに時間はかからなかった。スコアの書き方もすんなり習得。2週間後には、審判もするようになった。週末の練習試合で審判員をする卒業生の保護者や地元の人が教えてくれた。「筋がいいね」と褒められることもうれしかった。

 昨冬からは、監督や部長がいない時のために、自らノックの練習を始めた。最初はバットにボールを当てることすら難しかった。でも、1人黙々と練習をして、少しずつ内野ノックが打てるようになってきた。

 野球部に入って、矢島の生活は一変した。放課後は部活漬け、練習後にはチームメートとたわいもない話をしながら帰宅する。テスト前はみんなで「勉強会」をし、成績も上がった。

 大の仲良しのマネジャー、大柄心咲(2年)は、「部員たちは『ヤジー、トスあげて』って頼りにしている。ヤジさんには安心感がある」と話す。

 「野球部は大きな存在。居場所ができた」と矢島はいう。中学からの夢は教員になること。それにこの夏、野球部の顧問になることが加わった。(敬称略)

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