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「顔に当たったら」に違和感、吉田えりさんが伝えたい事

2021年6月12日08時00分

 今夏、女子にも「甲子園」への道が開かれる。男性とプレーする国内初の女子プロ野球選手となり、得意の球種から「ナックル姫」とも呼ばれた吉田えりさん(29)はどう受け止めたのか。

 ――全国高校女子硬式野球選手権大会(7月24日開幕)の決勝が、男子の全国選手権の休養日(8月22日)に阪神甲子園球場で行われることになりました。

 「素敵な一歩。すごいうれしいです。選手たちが頑張っているからこそ、甲子園での開催につながったのだと思います」

 ――所属するエイジェック女子硬式野球部内でも話題になったそうですね。

 「『本当にすごいことだよね』『みんなで見に行けたらいいね』と。発表があった日はこのニュースで部内はもちきりでした。高校野球を見ていたら自然と憧れる場所。ちょっとうらやましいです」

 ――小学2年で野球を始め、男子にまざってプレーしてきました。

 「中学2年くらいから身長の差や力の差を感じるようになりました。でもそこで立ち止まったらどんどん差が開くと思って、とにかく必死でした」

■男のスポーツじゃない

 ――神奈川県の川崎北高では硬式野球部を退部されていますが、なぜですか。

 「高校はピッチャーで勝負したいと思っていました。入部し、硬式球で打撃練習をすると手首がすごく痛かった。このまま続けると手首が壊れると感じました。すでにナックルボールを練習していたので、投手に専念してナックル一本で勝負していこうと思ったので、高校の野球部をやめ、男子のクラブチームに入りました」

 ――ナックルを武器に大リーグで200勝したティム・ウェークフィールド投手に影響を受けたそうですね。

 「中学3年の時、テレビで見ていて、父に勧められたことがきっかけです。私は身長も高くないので、速球派を目指すのは難しいかなと。球速105キロほどでも勝負できることに興味が湧きました」

 「最初はどうやれば無回転で届くんだろうって、横から投げたり、色々な握り方を試したりしました。実は今でも完成と言えるものはないのです。あまり回転せず投げられるようになったのは高校2年くらいからです」

 ――その高校2年の時に関西独立リーグのトライアウトを受験。「神戸9(ナイン)クルーズ」からドラフト7位で指名され、2009年にプロ選手になりました。

 「いつかは高いレベルで挑戦したいと思っていて、2歳上の兄と受けました。受かると思っていなくて、指名された時は、正直何が起こっているんだろうって」

 「実際にプレーして、好きな野球でお金をもらうことのありがたさを感じました。『女子初』という意識はありませんでした。当時は今よりももっと女子が野球をする環境は限られていたので、思い切り野球ができる喜びの方が大きかった」

 ――開幕戦で初登板し、打者2人に四球と三振でした。当時は一挙一動に注目されたと思います。

 「何もかも初めてだったので、注目されているとか、考える余裕はありませんでした。生活ががらっと変わって、練習と試合がメインになり、ついていくのに必死でした」

 ――つらかったことや苦労したことは。

 「多くの方が応援してくれるのに、なかなか結果がでなかったことです。本当に苦しかった。肩のけがもありました」

 「球場に着いてまず確認するのが女子トイレの有無でした。投手として本当なら最初にマウンドの傾斜や土の感触、ブルペンを確かめるべきなのでしょうけど、それよりも先に確認していました」

 ――それだけ設備が男性中心だったということですね。男子とともにプレーしながら、女子野球の裾野を広げたいという思いもあったのでしょうか。

 「中学生の頃に『危ないからやめた方がいい』『顔に当たったらどうするの』と言われたことにずっと違和感を持っていました。なんで『野球=男のスポーツ』というイメージが強いのか。野球をする女の子はたくさんいるし、これだけできるんだ、というのを見せたかった」

■「ママさん野球」広がって

 ――米独立リーグや国内の独立リーグBCリーグでも男子とプレーし、18年からエイジェックに加入し女子チームで活動しています。

 「前所属のBCリーグ栃木ゴールデンブレーブスではけがが治らず契約終了になりました。そのころエイジェックの古後(昌彦)社長から『一緒に女子野球を始めませんか』と声をかけられました。女子の普及や、もっとのびのびプレーできる環境を作りたかったので快諾しました」

 ――男女両方のチームでプレーして、気づいたことはありますか。

 「高2のトライアウト前の半年だけ女子のチームでプレーしましたが、本格的な活動は今回が初めて。いいなと思ったのが、みんなとても元気なこと。本当に野球が好きで、雨で練習ができないと残念そうにしています」

 ――ご自身は昨年11月に右ひじのクリーニング手術をし、4月に復帰しました。

 「いまは痛みなく投げられていて、改めて野球が好きなんだと実感しています。結果が出ない苦しさ以上に野球ができないほうが苦しい。野球には素敵な出会いや感動、喜びがある。これからも続けていきたいです」

 ――どんな将来像を描いていますか。

 「もっと野球を好きな女の子が増えてほしい。エイジェックのチームとして行っている、幼稚園や小学校での野球教室は続けていきたいです」

 「ママさんバレーって素敵だと思いませんか。お母さんになっても当たり前にプレーができる環境が野球にも整って、『ママさん野球』が広がるといいなと思います」

 ――女子にも甲子園という目標ができました。どんなことが期待できるのでしょう。

 「女子野球界からすると、甲子園はオリンピックの舞台みたいな、それくらいきらきらした場所です。そういう場所はすごく大事だと、今回のニュースを知って改めて思いました。これをきっかけに、女子野球がもっと広がればいいなと思います」(聞き手・大坂尚子)

     ◇

 よしだ・えり 1992年生まれ、神奈川県出身。小学2年で野球を始め、中学3年で硬式に転向。2008年秋に関西独立リーグの「神戸9クルーズ」にドラフト7位で指名され、男子とプレーする国内初の女子プロ野球選手となった。10年から米独立リーグに挑戦。その後はBCリーグなどでもプレーした。現在はエイジェック女子硬式野球部の選手兼任コーチ。

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