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球児の納得にこだわる 育成功労賞・松山西の阿部監督

2021年6月8日09時30分

 日本高校野球連盟と朝日新聞社が高校野球の発展と選手育成に貢献した指導者を表彰する「育成功労賞」に、愛媛県から県立松山西中等教育学校(松山市)の野球部監督を務める阿部博文さん(58)が選ばれた。球児が「最後に納得できること」を第一に考え、指導に携わってきた。

 6月初め、小雨の降る松山西のグラウンド。練習を締めくくる10本の坂道ダッシュを終え、戻ってきた生徒の前で、阿部さんは言った。「このダッシュが正解かは分からん。それでも信じてやれば、納得のいく最後につながるぞ」

 伊予市出身。5期生として入学した松山西高(当時)の野球部で、捕手を務めた。高校最後の夏は、初戦の松山南戦で延長十回サヨナラ負け。外野から中継されて返ってきた球が、阿部さんの頭上を越えていった。帽子が脱げるほど高く跳び上がったが、捕れなかった。

 「終わった」。悔しさと同時に「野球に関わり続けたい」との思いが湧いた。「全校の応援を受け、プレーできた幸せ。仲間とやりきれたこと。野球が本当に好きだった」

 中京大学を卒業後、愛媛で高校の教員になった。松山工、上浮穴の野球部監督などを経て、母校へ監督として戻ったのは4年前。自身の現役時代と比べると「人数は随分減ったが、いまは皆がレギュラーになれる環境。せっかくやるなら試合に出て、野球を好きでいてほしい」。

 ただ昨夏は、大会出場すら勧められなかった。5月下旬、コロナ禍で夏の選手権大会と愛媛大会は中止。県高野連は独自大会の実施を検討すると明らかにしたが、開催見込みは8月上旬。2人の3年生に「出場しろ」とは言えなかった。「他の部活の生徒は大会が終わり、受験に切り替える時期。厳しいと感じた」

 夜、自宅に戻ると3年生から電話がかかってきた。8月の大会には出ず、「練習試合で区切りをつけたい」という申し出だった。「子どもらで決めたこと。それがベストや」。阿部さんは、松山市内の県立高校野球部の指導者と、締めくくりの舞台を用意できないか、話し合った。

 6月末、松山市の坊っちゃんスタジアムで、8月の独自大会に出場しない部員のための「2020夏NEWS杯特別記念大会」が実現した。松山北、東、西、南の4校による対抗戦。

 阿部さんは、3年生を「自分の悔いのないよう打て」と送り出し、バントのサインは出さなかった。勝利はならなかったが、「子どもたちが最後に納得できる機会になった。今でも正しい選択だったと思う」。

 再来年1月に、60歳を迎える。こだわりは変わらない。「子どもらとしっかり、きっちり。変わらずに最後までやりきりたい」(照井琢見)

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