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夏の甲子園、中止決定から1年 済美の前主将から後輩へ

2021年5月21日10時00分

 あの日から1年。昨年5月20日、第102回全国高校野球選手権と愛媛大会の中止が決まった。甲子園のない夏に、球児たちは何を得たのだろうか。済美の主将だった山田響(ひびき)さん(18)はいま、松山大学で野球を続けている。103回大会に臨む後輩たちへのメッセージを聞いた。

 5月15日に、LINEニュースで「中止へ」という記事を見ました。それからの5日間は鮮明に覚えています。主将としてチームをどう引っ張ったらいいんやろと悩んだし、中止なら中止とはっきりしてくれと、腹立たしい気持ちもあった。苦しかったです。

 本当に甲子園にかけてたんです。甲子園に向かって走っていました。

 1年生のときに出場した甲子園は、打席では自分の心臓の音しか聞こえない。そんな自分に3年生の先輩は「思い切りやればいい」と言ってくれた。そして、あの逆転ホームランもあった。先輩はすごいなあと。

 星稜(石川)戦の(矢野功一郎選手の逆転サヨナラ満塁)ホームランは、ベンチから「ファウルかあ、もう負けるのか」と見ていた。そしたらポールに「カン」と当たって、本当に甲子園がシーンとなった。理解できんですよね。「野球は面白いなあ」と思った。

 去年の夏、3年生の自分はこういう思いを後輩にさせてあげたかった。「思い切りやればいい」と言ってあげたかった。

 20日に正式に中止が決まったと聞いたときは、もう気は楽で。逆に燃えたんです。「主将をやる以上、引っ張っていかんと」って。負けず嫌いなんです。

 「やめたいなら、やめたら」とは言いたくなかった。3年生23人全員で最後までやって、「甲子園もないのに、ようやったな」と言いたいなと思った。

 練習は変わらずしんどいんです。学校から離れたグラウンドまで自転車をこぎながら、「何しよんやろ」とも思いました。

 でも、後輩に何かを残してやりたかった。「目標もないのに、頑張ったぞ」という姿を見せたかった。

 最後の夏の(独自)大会は、1位で締めくくるぞと思って出場しました。宇和島東に負けた準決勝は、いまだに悔しい。映像は見たくないです。

 甲子園がなくても、負けたくない。悔しい思いをしたくないという気持ちは変わりませんでした。やっぱり野球が好きなんだ、とも気づきました。

 試合後、「笑って終わろう」と仲間に言ったんですけどね。スタンドにいる親の顔を見たら、涙ぶわーとなって、恥ずかしかった。あとは「やりきったぜー」という気持ちですね。

 この1年、あっという間です。いまでも仲間と「目標もないのにあんだけやった俺ら、奇跡やん」と話します。コロナが収まったら、県外の子らとも会って「よう頑張ったな」と言い合いたい。

 自分は「被害者」とは思っていない。しんどいときこそ頑張れると経験できた。この先、しんどいことがあっても「あれだけやってきた」と思える。

 後輩たちには、甲子園があると思います。うらやましいです。「目標があるなら、なんでもっと頑張らんの?」と思ってほしいですね。自分が後輩だったら、そう考えると思います。

 みんな、野球より大事なことは学べた1年だったと思うんです。仲間と団結する難しさや、いろんな人の気持ちを考えること。野球ができることへの感謝の気持ちも。

 そのうえで、野球は勝負事で、勝つことがすべて。それが当たり前。後輩たちには、「勝負事は負けるな」と伝えたい。「自分は何しにここに来たんだ」と常に考えてほしいです。(聞き手・照井琢見)

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