スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

目標に「甲子園 初優勝」と書けた 女子強豪の思いとは

2021年4月30日07時00分

 今夏、男子の全国高校野球選手権大会の期間中の休養日に、全国高校女子硬式選手権大会の決勝が阪神甲子園球場で開催されることが決まった。あこがれの舞台へ。道がつながった女子高校野球のいまを伝える。

■女子高校野球はいま

    ◎

 桜の花びらが、春風に揺れていた。4月2日、履正社(大阪)の選手たちは涙をのんだ。

 男子の第93回選抜高校野球大会決勝の翌日、甲子園球場から約500キロ離れた埼玉県加須市で、第22回全国高校女子選抜大会が決勝を迎えていた。

 2017年以来2度目の春の頂点をめざし、開志学園(新潟)と戦った。

 3点をリードして迎えた最終の七回。救援投手の制球が乱れた。

 1点を返され、なお1死満塁のピンチで準決勝を完封した2年生エース大向(おおむかい)真央を投入したが、流れを断ち切れない。この回、計5点を奪われ、逆転で屈した。

■おそろいのガッツポーズで

 大向は制球力の高い右腕。春のマウンドに悔いを残し、「ピンチで投げきれる投手になりたい」と言った。

 大会には33チームが集まった。

 迫力があった。速球派の投手は120キロに迫る球を投げ、技巧派は80キロ台のカーブをコースに投げ分ける。力自慢の打者は男子と変わらない900グラムのバットを振り抜き、遠投90メートルを誇る強肩もいる。

 ルールは男子と同じだが、規定は少し違う。7イニング制で指名打者制を採用し、ベンチ入り枠は25人。春夏の甲子園大会が18人の男子と比べ、ベンチがにぎやかな印象だ。

 アウトを取るたびに、守備をした選手を全員で指さし、かけ声。得点すればおそろいのポーズで喜ぶ。履正社は控え選手がベンチ前で「笑顔!」と書いたボードを掲げ、守備を終えた選手を迎えた。打者紹介などの場内アナウンスはさん付けだ。

 「練習は厳しくても、笑顔で楽しくすることが大事。今までやめた子は一人もいない」

 選抜後に履正社を訪ねると、橘田恵監督はそう胸を張った。

■父の言葉が現実に

 14年に部員5人で創部した。当初は学校の校庭を他部と共用していたが、2年後に大阪府箕面市に専用グラウンドが完成した。めきめきと力をつけ、夏の全国高校選手権は準優勝が2度だ。

 部員はいま55人。7割超は近畿地方の出身だが、他の地域からも集まる。

 内野手の忽那(くつな)真白(3年)もその一人。香川県さぬき市出身で、2歳上の兄の影響で野球を始めた。

 バドミントンもやっていたが、「自分がミスをしても、チームで勝てることがうれしかった」と夢中になった。

 中学では軟式野球部で唯一の女子としてプレーした。打席に立った際、相手の外野手に極端な前進守備を敷かれたことがある。悔しくて打力を磨いた。

 両親から県外への進学を反対されたが、「試合に出て活躍したい」との思いが勝った。主に近畿の数校の野球部を見学した上で、履正社に進学した。

 入学後は寮生活でホームシックになり、肩やひざのけがもした。でも、やめたいと思ったことは一度もない。

 「女子野球は明るいと思う。勝ったときだけでなく、ストライクやアウト一つ、安打1本でも全員で喜べる雰囲気が好き」

 大阪市出身の主将、花本穂乃佳(3年)も3歳上の兄の影響で小学1年から競技を始めた。中学時代はシニアリーグで男子と一緒にプレーした。

 忘れられない思い出がある。中1の夏、自宅で父と一緒に甲子園のテレビ中継を見ていた時だ。

 「自分もここでプレーしたいな」

 そうつぶやくと、父から女子にはその機会がないという現実を知らされた。

 「なんで野球やってるんやろ」

 落ち込んだが、父はそっと語りかけてくれた

 「女子野球の人口が増えたらできるかもしれない。それまで頑張れよ」

 28日夕、全部員が集められた。この夏の全国高校女子選手権の決勝が甲子園球場で開催されることが決まった――橘田監督から伝えられると、みんな声を失ったという。

 橘田監督は昨年から部の目標を書くためのだるまを用意するようになった。この場にも小さなだるまを持ってきた。

 仲間に囲まれながら、花本は書き込んだ。

 「甲子園 初優勝」

 拍手に包まれた。(大坂尚子、山口裕起)

新着ニュース

アクセスランキング

注目の動画

一覧へ