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父のお守り、こっそりポケットに 26年ぶりの甲子園

2021年3月30日08時50分

 (29日、選抜高校野球 明豊6ー4智弁学園)

 第9日の29日に登場した智弁学園(奈良)の二塁手、竹村日向(ひなた)選手(3年)はお守りを身につけて試合に臨んだ。同校OBの父が26年前、夏の甲子園で4強入りした際に持っていたもの。四半世紀の時を経て、一つの古びたものが親子の思いを甲子園でつないだ。

 この選抜大会は背番号「4」。初戦、父と同じ内野手で甲子園の土を踏んだ。29日はベンチで戦況を見つめた。手をたたき、仲間に声をかけた。

 父親の禎晃(よしあき)さん(43)は1995年夏、智弁学園の遊撃手で副主将だった。主将だった小坂将商監督(43)らと夏の甲子園への出場を決めた。

 大会前、3年生約20人の保護者らがお守りを白い布製の袋に入れた。禎晃さんらの担任だった井元康勝部長(70)が、部員一人ひとりにメッセージを書いた。

 「集中力」「平常心」。禎晃さんの袋にはそう書かれてあった。身につけ、4強まで勝ち進んだ。大学、社会人でも野球を続け、常に野球バッグに入れていた。

 日向選手は同じ智弁学園への進学を決めた。

 入寮の前夜。神戸市の自宅玄関の野球グッズが並ぶ一角に置かれていたお守りを、父から手渡された。「大事な試合、甲子園とか行ったとき、つけや」

 お守りがあったから甲子園で頑張れた。寂しい時やつらい時、味方でいるよ。禎晃さんはそう伝えたかったという。日向選手は「甲子園の経験が支えてくれるかも」。野球バッグにしのばせた。

 競争は厳しかった。中学時代は軟式野球部。周りはU―15(15歳以下)の日本代表や強豪クラブなどで活躍してきた選手が少なくなかった。体もチームで一番といっていいほど細かった。「帰りたい」と弱音も吐いた。

 父からもらったものは心の支えになった。普段は寮の自室の棚の上に置く。外に持ち出すのは公式戦といった大事な時で、試合に出る時は右後ろのポケットに入れた。緊張で硬くなってもさわると気持ちが楽になった。白い袋は徐々に、茶色に染まっていった。

 昨秋の近畿大会は控えだったが、途中出場した1回戦でサヨナラ打を放った。「やっとチームの一員になれた」。チームは優勝し、2年連続14回目の選抜出場を決めた。

 この日、チームは惜敗。明豊(大分)の校歌が流れ、涙する選手の中で、日向選手は背筋を伸ばして前を見すえた。禎晃さんは、渡したものを息子が身につけていることを最近知った。「ピンチの時に私を支えてくれたものが、日向との絆を深めてくれた。悔しさをバネに夏は私以上の成績を目指してほしい」と息子を見つめた。(米田千佐子、浅沼愛)

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