球速も身長もBIGな2人 「大谷VS藤浪」勝ったのは
2021年3月21日08時00分 朝日新聞デジタル
2年ぶりに球春到来――。第93回選抜高校野球大会が3月19日から阪神甲子園球場で開催中。夏と同じく、甲子園の歴史を彩ってきたセンバツの名場面を、担当記者がゲストを交えながらトークで振り返ります。題して「音でよみがえる甲子園」。
◇2012年第84回大会 1回戦=3月21日
大阪桐蔭(大阪)000 003 204|9
花巻東 (岩手)010 100 000|2
○…大阪桐蔭の藤浪は150キロ近い直球とキレのある変化球を武器に尻上がりに調子を上げ、大型投手対決を制した。打線は六回、笠松の2点二塁打で逆転し、七回は田端の本塁打で突き放した。花巻東は大谷が本塁打を放つなど投打で奮闘したが、力尽きた。
◆大谷息切れ、後半に球浮く
最後までここにいたかった。九回2死、交代を告げられた花巻東・大谷は寂しそうにマウンドを降りた。「自分のせい。流れを悪くしてしまい、野手に申し訳ない」。左翼に回り、追加点を奪われるのを見つめることしかできなかった。
昨夏の甲子園、8月7日以来の公式戦登板だった。左足のケガで、昨秋は登板なし。投げ込みを開始したのは、年が明けてからだった。
球数が100球を超えた六回。後半勝負にかけていた相手打線に、浮いたスライダーを狙われた。
二回に藤浪から放った右翼席への一発の快感は残っていない。「一から作り直して、またチャレンジします」。夏、自身3度目の甲子園へ。まずは1人で投げ切る力を取り戻すのが課題だ。
▼藤浪、我慢勝ち 大阪桐蔭
身長197センチの大阪桐蔭の藤浪が、193センチの大谷に投げ勝った。
大谷に本塁打を許すなど2点リードされたが、慌てない。良かったのは、冬から取り組んだカットボール。球速は130キロ台で、打者の手元で小さく曲がる。捕手の森は「カウントを稼ぐのにも、三振を取るのにも使えた」。
12奪三振について、「意外と多かった」。自己最速タイの150キロを出しても「スピードガンと勝負するわけじゃない」。涼しい顔だが、最後に熱がこもった。「今日は野手に助けられた。次は自分が引っ張る」