「特別な春」本命は? センバツ大会注目の投手と打者
■【朝日新聞ポッドキャスト】音でよみがえる甲子園⑭ センバツ直前予想
特別な春となる。
今年の抽選会は新型コロナウイルスの影響で32校の主将が自校からオンラインで参加。抽選方法も簡素化され、同じ県から2校ずつ出場する宮城、奈良、兵庫の各県以外の学校はフリー抽選となった。このため、これまでは準々決勝まで避けられていた同じ地区同士の対決が1回戦から実現する。
注目は昨秋の近畿大会決勝と同じ顔合わせとなった智弁学園(奈良)―大阪桐蔭。対戦が決まった瞬間は、両主将とも苦笑いを浮かべた。近畿大会で7―3で勝った智弁学園の選手たちは「勝ったのがまぐれではないと証明したい」と口をそろえ、3年ぶりの選抜優勝を狙う大阪桐蔭は静かに雪辱に燃える。智弁学園は西村王雅、小畠一心、大阪桐蔭には松浦慶斗と関戸康介と、それぞれ左右の二枚看板を擁し、打線もスイングが鋭い。投打にレベルが高く、この勝者が優勝に近づくだろう。
ただ、本命に挙げたいのは東北大会を2年連続で制した仙台育英だ。チーム内競争が激しく、選手層が厚い。東日本大震災から10年の節目で「東北に元気を」とチームもまとまる。須江航監督が2018年秋に打ち立てた甲子園優勝までの「1千日計画」もこの春に集大成を迎え、東北勢初の悲願に向けて準備は整う。
選手個人に目を向けると、好投手が多いのが特徴だ。なかでも、ナンバーワンの呼び声が高いのは小園健太(市和歌山)。最速152キロ右腕で変化球の精度も高い。球威では、畔柳(くろやなぎ)亨丞(きょうすけ)(中京大中京)も引けをとらず、身長193センチの達孝太(天理)も安定感がある。
左腕では、リーチの長い木村大成(北海)、インステップに踏み出す本田峻也(東海大菅生)はともに球に角度があって打ちづらそう。石田隼都(東海大相模)、代木大和(明徳義塾)、毛利海大(かいと)(福岡大大濠)も制球力が光る。
打者では、1年夏から甲子園を経験する前川右京(智弁学園)はスイングスピードが速く、広角に長打を打てる。同じ左打者の小沢周平(健大高崎)も小柄ながらリストが強く、高校通算35本塁打。守備では大塚瑠晏(るあん)(東海大相模)、米崎薫暉(くんが)(明徳義塾)の両遊撃手はフットワークが軽快で、田辺広大(こうた)(常総学院)、高木翔斗(県岐阜商)はともに強肩捕手だ。
見どころたっぷりの2年ぶりの選抜大会。東海大系列の対決となる東海大相模―東海大甲府は、ユニホームの微妙な違いを探すのもおもしろい。(山口裕起)
■注目の投手の昨秋の公式戦成績
投球回 被安打 奪三振 与四死球 防御率
木村③(北海)☆ 522/3 27 72 10 0.34
伊藤③(仙台育英) 25 12 14 5 0.72
本田③(東海大菅生)☆321/3 16 28 16 1.95
石田③(東海大相模)☆482/3 32 55 13 1.29
畔柳③(中京大中京) 492/3 27 60 11 0.72
松浦③(大阪桐蔭)☆ 48 37 33 8 2.63
関戸③(大阪桐蔭) 7 3 6 4 1.29
西村③(智弁学園)☆ 520/3 50 36 16 3.98
達③(天理) 52 34 68 9 2.42
小園③(市和歌山) 46 32 50 11 1.17
代木③(明徳義塾)☆ 62 42 54 10 0.58
毛利③(福岡大大濠)☆ 49 27 63 28 1.47
太田③(明豊)☆ 321/3 24 48 15 1.95
※丸数字は新学年、☆は左投げ
■注目の野手の昨秋の公式戦成績
打率 打点 本塁打 三振 盗塁
田辺③(常総学院) .486 6 0 1 0
小沢③(健大高崎)☆ .324 17 3 0 4
大塚③(東海大相模)☆ .394 1 1 2 5
高木③(県岐阜商) .367 7 0 4 0
池田③(大阪桐蔭) .515 19 3 4 0
前川③(智弁学園)☆ .400 7 2 2 2
松川③(市和歌山) .474 11 1 0 0
米崎③(明徳義塾) .500 5 0 2 0
※丸数字は新学年、☆は左打ち