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大崎、廃部寸前から3年で甲子園 島で鍛え上げた心と体

2021年3月13日09時15分

 選手によっては寮の食堂に置かれる地元紙が情報源だ。携帯は一日1時間と決められ、唯一のテレビはビデオ分析専用という。第93回選抜高校野球大会に初出場する大崎は長崎県西部に浮かぶ大島の県立校。寮は隣島にある。島々は橋で結ばれ、九州本土ともつながっているが、生活圏は狭い。最寄りのコンビニまで自転車で30~40分。あまり行く気はしない。

 そんな環境でも、エース坂本安司(あんじ)(2年)は「逆に野球に集中できます」と笑う。生活一切、練習も上下級生の区別はない。何でも部員29人でやる、との意識が浸透していてみんな朗らかだ。今春卒業した3年生も含めた、この連帯感がチームの強みになっている。

 廃部寸前だった。かつて炭鉱で栄えた島は少子高齢化に悩む。2017年夏、清水央彦(あきひこ)監督が指導する前、部員は5人だった。練習で使う市の球場は草だらけ。「まずはグラウンド整備。大げさでなくゼロからでした」と監督は遠くに目をやった。清峰のコーチ(3回)、部長(1回)、佐世保実の監督(2回)で計6回甲子園を経験している。その手腕に引かれて翌年、多数の有望選手が集まった。それがすぐ上の3年生たち。チームは息を吹き返した。

 投手なら、体重移動から始まって一つ一つ段階を踏んでフォームを固めていく。監督の技術指導には独自の実際的な方法がある。だが、根本は「馬力をつけること」。丸太を抱えてのタイム走など体幹、下半身を徹底して鍛える。ときには強化にうってつけという山へバスに乗って走りにいく。この冬もよく走った。

 3年生は一昨年秋、58年ぶりに九州大会に出て、昨夏は県独自大会を制した。その背中を見て育った坂本たちは秋、九州大会で優勝し、初の甲子園にこぎつけた。当初の5人のうちの1人、相知(おうち)魁斗(かいと)さんは「まさかですよね」。たった3年余りでのチームの変貌(へんぼう)ぶりにうなるばかりだ。

 部を存続させたOB、一から作り直した3年生のことを思うと、「もっと実績を上積みしなければ」と主将の秋山章一郎(2年)は励まされる。「出るだけじゃない。甲子園で勝って先輩たちに喜んでもらいたいんです」。誰かのために、という情熱は活力を増幅させてくれるものらしい。(隈部康弘)

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