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ボール修繕がつないだ友情 甲子園挑む八戸西に心の変化

2021年3月17日09時15分

 「一球入魂」

 野球では使い古されたような四字熟語を、第93回選抜高校野球大会に出場する八戸西(青森)の選手たちは特に大切にしている。きっかけは、県立八戸高等支援学校との交流だ。

 2019年から、知的障がいのある生徒が通う支援学校と、硬式球の修繕を通じて親交を深めている。支援学校の教員でもある八戸西の小川貴史監督(37)が「古くなったテープをはがし、新しく巻き直すのは単純だけど大変な作業。(支援学校の生徒が)就職を目指す上でいいのでは」と考えたのが始まりだ。

 週3回、支援学校のリサイクル班の授業で、練習で傷んだボールにビニールテープを巻き、ティー打撃などで使えるようにする。その数は1週間で100個以上になる。

 ボールだけが行き来する交流が、2020年度から変わった。コロナ禍で回数は少ないが、八戸西の選手が支援学校で畑作業をしたり、スポーツ交流をしたりして、ふれ合っている。

 右翼手の下井田大和(2年)は、昨夏に一緒にサッカーを楽しんだ生徒から、SNSで連絡が来たという。「名前を検索して見つけてくれたんだと思う」と下井田。そこから「あの時、ありがとうな」「また来て一緒に遊んでほしい」などとやりとりが続いた。今では「やまと」と呼ばれるほど仲がいい。

 昨秋には修繕体験もした。「どうやればいい?」などと、支援学校の生徒に教わりながら作業した。ビニールテープを引っ張りながら巻き付けるが、なかなかうまくできない。「力もいるし、根気も必要だった」と主将の宮崎一綺(かつき)(2年)は振り返る。

 実際に作業することで、野球に取り組む意識も変わっていった。下井田は「1球の大切さがわかるようになった。練習ではいい意味で『ボールをボロボロにしてやろう』と思った」と話す。

 両校の生徒の変化を一番身近で感じているのは小川監督だ。「支援学校の生徒も、西高が勝つとうれしいし、負ければ悔しい。応援することで自分たちにも達成感が芽生えたと思う。西高の部員も思いやりを持ち、感謝の気持ちもより深くなった」。相乗効果につながっている。

 県内には青森山田や八戸学院光星などの強豪がひしめく。打倒私学を掲げ、選手たちは、特別な思いがこもったボールで打ち込みを重ねた。昨秋の県大会で準優勝すると、初めて出場した東北大会は準々決勝で花巻東(岩手)に1―2と善戦。21世紀枠で甲子園初出場をつかんだ。

 支援学校の生徒は出場を喜び、空き缶拾いなどでためたお金でボールケースを買い、3月1日に贈呈してくれた。そういった心遣いがいま、何よりも力になっている。宮崎は、力を込めて言った。「勝って校歌を歌いたい。それが一番の恩返しになると思うから」(大坂尚子)

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