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コロナ禍の高校野球 印象に残った選手を振り返る 三重

2020年12月25日09時00分

 新型コロナウイルスの影響で、第102回全国高校野球選手権大会と三重大会は中止になった。代わりに開かれた独自大会では、いなべ総合が60チームの頂点に立った。大会前から約3カ月に及ぶ取材で、甲子園につながらなくても、全力で野球に打ち込む多くの球児たちに出会った。今回は2人の選手を紹介したい。

 「おれも取材してください」。7月上旬、いなべ総合を取材で訪れたときに、気さくに話しかけてきたのが村木陽亮君(3年)だ。

 「兄を甲子園に連れて行きたかったんです」。そんな夢を語ってくれた。

 三つ年上の兄、柊哉さんも野球をしていたが、高校2年生の冬にひざの半月板を損傷。最後の夏の三重大会には出場できなかった。兄の悔しさを晴らすため、同じ高校に進んだという。

 だが、自身の最後の夏は選手権大会の中止が決定。その後、独自大会の開催が決まると、兄は言ったという。「その先の目標に向けて一歩ずつ進んで。高校野球をやりきっておいで」

 その言葉に「甲子園だけじゃない」と思えた。大会前の取材に、自身に言い聞かせるように答えた。「絶対優勝しますから」

 有言実行だった。準決勝では、九回裏にサヨナラ打を放ち、チームを決勝へ導いた。決勝でも、九回裏に同点打を放ち、逆転優勝の流れをつくった。

 優勝を果たし、安堵(あんど)の表情を見せ、「やりました」と一言。見事、兄に勝利を報告することができた。

 もう一人は、4強入りした松阪商のエース、松山心君(3年)。生まれつき左耳は聞こえず、右耳は補聴器をつけている。中学は県立聾(ろう)学校に通っていたが、甲子園の舞台をめざして、松阪商に入学した。

 当初は、チームメートとのコミュニケーションに苦労したが、着々と力をつけてきた。昨秋に比べ、球速を20キロほど伸ばした。周囲からも認められ、絶対的なエースに成長した。

 試合では、チームメートとジェスチャーでコミュニケーションを取っていた。いなべ総合を相手に戦った準決勝では、記者席からでも分かるようなつらい表情を浮かべながらも、151球を投げ抜いた。

 この試合で敗れたが、取材には「やり切ったから悔いはない」と話し、涙は見せなかった。

 「夢を奪われた」と見られがちな今年の3年生。しかし、決してそうではなかった。苦悩を乗り越え、グラウンドに立った選手たちは、きっと一回りも二回りも成長したに違いない。(大滝哲彰)

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