イチローさん、高校生を指導者 「考える」大切さを伝授
プロ野球のオリックスや大リーグのマリナーズなどで活躍し、昨年3月に現役を引退したイチローさん(47)が4日まで3日間、高校野球の強豪、智弁和歌山で「臨時コーチ」として選手を指導した。同校の理事長とかねて親交があり、指導が実現。フリー打撃を実演する場面もあった。
「3日間で一つの指導」ととらえるイチローさんは1日目は静観し、2日目は助言を送った。そして、3日目。引退後もトレーニングを続けているイチローさんは練習に加わって選手と一緒に体を動かした。
盗塁の練習では「なるべく動きはシンプルな方がいい。やらないといけないことが増えると野球は難しくなる」「(盗塁は)スタートで全部決まる」「(リードをとるとき)一回、(重心を)下げることで見やすくなる」「(相手投手が)左の時はいちかばちかリスクをとらないといけない」「緊張した時は全体を見る。筋肉が緊張するとパフォーマンスが下がる。打撃でもリリースポイントだけを見ると緊張する。全体を見ようとする」と経験を交え、細かく指導した。
フリー打撃ではバットを握り、日米通算で4367安打を積み上げたスイングを披露。全体練習後は選手一人ひとりに自主練習のメニューを作成させ、「考える」ことの大切さを説いた。最後は選手から花束を受け取り、「僕が伝えられることはこの3日間で伝えた。期待しています。がんばって」とあいさつ。4番打者の徳丸天晴(てんせい)外野手は「すごいオーラがあって、イチローさんが発した言葉一つ一つが心に残った。(キャッチボールの相手役を務めて)緊張したけれど、肩甲骨や上体の使い方を教えてもらって勉強になりました」。
イチローさんは現在、マリナーズの球団会長付特別補佐兼インストラクターを務めている。日本学生野球協会は原則として、プロ球団に在籍中の監督、選手らに高校生や大学生への指導に必要な「学生野球資格」の回復を認めていない。だが、イチローさんの野球界での功績などを考慮し、特例を容認。今年2月に資格回復していた。
他校も含めて今後の指導については未定だが、イチローさんは11月に講演した際に、「高校野球はめちゃくちゃ面白い。すごい興味がある」などと語っていた。