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高専野球部、異例の卒業試合 コロナ禍の悔しさは今も

2020年11月22日08時11分

 新型コロナウイルスの感染拡大で、今年の高校野球は夏の全国選手権が中止になるなど、極めて異例の年となった。シーズンの終わりが近づいた14日、愛知県豊田市内で、ある「卒業試合」が行われた。

 グラウンドに集まったのは、豊田高専(愛知)と岐阜高専の野球部員だった。5年制の高専も県高校野球連盟に加盟しており、1~3年生は各大会に出場できる。ただ、今年は春の県大会、夏の全国選手権地方大会がコロナで中止された。

 両校の苦難はそれだけでなかった。多くの高校が出場した夏の独自大会にも、高専ならではの理由で出られなかった。

 県内外から学生が集まる高専は、寮で生活するケースが多い。感染が拡大する中、寮で患者が発生する危険があると判断され、両校とも夏休みが明ける9月まで校舎で授業ができなかった。野球部は独自大会出場を希望したが、学校側の許可がおりず、涙をのんで辞退した。

 「大人の判断で、選手を大会に出してあげられなかった。大人の責任で、こうした機会をつくりたかった」。試合を発案した豊田高専の加藤貴英監督(45)は、独自大会の辞退直後から準備し、岐阜高専に対戦を打診。計画していた11月7日は雨で中止となったものの、諦めず、14日、快晴のもとでプレーボールを迎えた。

 最初に、今季で高校野球は終わりとなる3年生同士が対戦した。豊田高専が一回に3点、二回に2点、三回に4点を挙げた。対する岐阜高専は守りのミスが重なり、ペースをつかめない。1時間半限定だったため、六回終了時点でゲームセット。15―4で豊田高専が勝った。

 「現状、まだ厳しいです」。岐阜高専1~3年生チームの麻草(まぐさ)淳部長(51)は明かした。9月以降はほぼ通常の生活に戻った豊田高専と違い、岐阜高専は今も1日おきに学生の半数ずつ登校させる措置をとっている。部活動は10月12日にやっと再開が許されたが、全員で連係プレーを確認することは一度もできなかった。

 麻草部長にとっても、今年はつらい1年だった。テレビ会議を通じ、独自大会辞退を伝えた時の選手の涙が、胸にずっと残っている。辞退を受け入れられない保護者が翻意を求め、学校に来る一幕もあった。「大変不謹慎ですが、独自大会がなければよかった。もしそうなら、選手にも説明しやすかった。高校が出られて、高専が出られない理由が分かりづらかった」。コロナを理由に退部した部員がいなかったことは救いだった。

 高専卒業を控えた5年生チームも対戦した。こちらは七回まで戦い、3―3で引き分けた。

 岐阜高専の古川竜也選手(3年)は「一つのけじめとして、今日はプレーした。本当は大会で勝って、先生やコーチ、保護者に恩返ししたかった」。豊田高専の長瀬丈選手(3年)は「三回くらいから、やればやるほど不完全燃焼の思いがこみ上げた。冬のきつい練習についてきてくれた仲間を、大会で勝たせてあげたかった」。

 試合ができた喜びと、それでも消えない悔しさ。4年生になる来季、2人とも野球は必ず続けるという。(渋谷正章)

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