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めざすは「米国野球」? 大阪学芸高、独特な育成方針

2020年10月10日12時00分

 この夏、ある四字熟語に目がとまった。朝日新聞大阪版に掲載された、高校野球の府独自大会に出場する全チームを紹介する「青春ストライク」。各チームがそれぞれの特色や目標を4文字で表現するなか、大阪学芸が選んだのは「米国野球」。どんな思いが込められているのか気になり、グラウンドを訪れてみた。

 秋風が吹く大阪府河南町にある高台のグラウンドに、大阪学芸の部員たちが集まってきた。元気なあいさつやてきぱきと準備をする姿は、いかにも日本の高校球児らしい。どこが「米国野球」なのだろう。小笹拓監督に尋ねると、「まずはうちの守備練習を見てください」と返ってきた。

 アップが終わると、部員たちは定位置に散らばっていった。だが、シートノックはしない。それぞれがゴロをさばいたり、フライを捕ったり。もはや自主練習だ。大リーグの選手が見せるようなグラブトスや素手でさばく「ベアハンド」の練習を繰り返す内野手が目立つ。打球の正面に入ったり体で止めたりという、「基本」と呼ばれてきたプレーはほとんど見られなかった。

 打撃練習も面白かった。3カ所のフリー打撃。使うバットが特徴的だ。米国製の低反発の金属製バットや「コンポジット(複合)バット」を握る選手が多い。コンポジットバットとは、打つ部分はメープル材で、グリップエンドまではカーボンの芯が入ったウレタン製。いずれも打球が飛びにくいとされるバットだ。

 強く振って芯に当てなければ、長打は出ない。体の大きさを問わず、全員が強振を繰り返す。バント練習は一切しない。

 「選手が効率よく成長するための練習を心がけています。チャレンジングな姿勢は大歓迎」と小笹監督。「守備の時間なのに、『うまくなるために筋力が必要だ』といって筋トレをする選手もいますよ」と笑う。

 効率化と自主性を重んじる指導方針は、自身の経験から生まれた。石川・星稜高、立大を経て独立リーグのBCリーグ石川でもプレーした。「野球エリート」と呼ばれるキャリアだが、ずっと胸に引っかかるものがあった。

 「一度、フルスイングを矯正されたことがあるんです。それ以降、様々な技術を教わって『うまい選手』にはなれたけど、心のどこかで『もっとスケールの大きな選手になれたのでは』と思うところもあった」

 後悔を抱えながら指導者の道に進んだ。大阪学芸では「教えるときには、否定から入らない。伸び伸びと成長させる」ことを目標にしてきた。昨夏、ドミニカ共和国で大リーグのアカデミーを見学した。理論を選手に押しつけない指導を目の当たりにして、自信を深めた。育成方針も独特なものに。「甲子園だけがすべてではない。25、26歳で活躍できる土台を作ろうとしている」という。

 こうした小笹監督の指導を部員たちが「アメリカっぽい」と感じて、あの四字熟語が選ばれた。主将の北野嘉人(2年)は誇らしげにいう。「僕たちはやらされる練習をしていない。だからうまくなる」

 北野はもともと公立校志望だった。受験に失敗して、大阪学芸へ来たが、初めて練習に参加した日にその雰囲気にほれ込んだ。「中学のときは練習が嫌だったけど、いまは練習がやりたくてしかたない。学芸に進んで、本当によかったです」。夏は初戦敗退だったが、新チームで臨んだ秋は3回戦まで進んだ。この練習の雰囲気を見れば、期待せずにはいられない。一冬越えた大阪学芸が楽しみだ。(小俣勇貴)

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