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島根初の女性野球部長 三刀屋高校の快進撃を支える

2020年8月31日13時41分

 ■三刀屋高校野球部部長 桑原知歩さん(26)

 今夏、コロナ禍の中で開催された高校野球の独自大会。3戦連続のサヨナラ勝ちを含む快進撃で4強入りした三刀屋高校野球部を、責任教師(部長)として運営面で支えた。島根県高校野球連盟によると、女性の野球部長は県内初という。

 中学3年生だった2009年夏、友人に誘われ、全国高校野球選手権島根大会の飯南戦を松江市営野球場のバックネット裏で眺めた。地域の大声援を受け、泥だらけで白球を追う飯南の姿に心打たれた。自身が所属していたバレー部の引退試合のあったその日、裏方として高校野球に関わることを決めた。

 進学した飯南高校でマネジャーとなり、スコア付けやおにぎり作りなどで選手たちをサポートした。入学時には頼りなかった同級生たちが、最後にチームをまとめる姿は輝いて見えた。「野球を通じて人は育っていける」と、教員として野球に携わりたいと思った。

 三刀屋高校に教諭として新規採用された今年、国分健監督から野球部長就任の打診を受けた。責任の重さにためらいながらも、夢への一歩を踏み出した。新型コロナウイルスの感染拡大で休校や部活動の自粛が続く中、感染防止策の徹底や練習試合の調整などに奔走した。

 プレー経験がなく、技術的な指導ができないことに歯がゆい思いをすることもある。ただ、マネジャーをしていたからこそ、生徒の異変にいち早く気がつけると手応えを感じている。「部員には監督に伝えづらい野球以外の悩みもある。選手と監督をつなぐことが自分の役目」と話す。

 夏の甲子園中止が決まった5月下旬、選手らがつづった野球ノートを開いた。目標を失った悔しさや、独自大会の開催を信じる「やってやるぞ」の強い思い――。「なんていいチームなんだろう」

 最後まで諦めない姿勢で独自大会を勝ち進み、公立校唯一のベスト4。「1年目から最高の経験をさせてもらった」と笑顔を見せる。

 目標は選手とともに、甲子園で校歌を歌うこと。「もっと野球の勉強をして、選手や監督に最高の環境で戦ってもらえるよう支えていきたい」(清水優志)

     ◇

 ――部長就任の感想は

 監督や周囲の理解に支えられています。大学時代、岡山に女性部長がいると聞いたこともあり、なれないとは思っていませんでした。性別をバリアーにしたくないので、自分の視点で野球部をよくしてきたいです。

 ――1年目の夏で心に残ったことは

 選手たちが野球を楽しんでいたことです。劣勢の試合でも逆転を信じていて、私自身も負ける気がしていませんでした。色んな人から「いいチームだったね」と言ってもらえたのがうれしいです。

 ――大学でもマネジャーをされています

 学生監督のチームで、マネジャーが部費の管理や連盟とのやりとりも任されていました。責任の重さは違いますが、経験が部長としての仕事に生きていると思います。

 ――今後の目標は

 技術的なところはまだゼロです。野球の技術はもちろん、テーピングやアイシングなどのケアを学んで、不安なく野球をしてもらえるようになりたいです。

     ◇

 くわばら ちほ 1994年、島根県飯南町生まれ。大学で硬式野球部マネジャーを務めた。大学卒業後、カナダに留学。中学校の英語講師などを経て、現在、三刀屋高校英語科教諭。

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