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野球、甲子園への愛情にじむ偉人 福嶋一雄さん死去

2020年8月29日13時00分

 柔らかな語り口の中に、野球への愛情と厳しさがにじむ偉人だった。

 戦後間もない夏の甲子園大会で2連覇した福岡・小倉高のエース、福嶋一雄さん。27日に89歳で亡くなった。第30回全国高校野球選手権大会(1948年)で全5試合を無失点で投げ切る大記録を打ち立てたほか、甲子園の土を持ち帰る球児のはしりとしても知られた人だ。

 旧制小倉中4年生だった第29回大会(47年)で全5試合を1人で投げ、九州勢初の全国制覇に貢献。翌年は学制改革で小倉高2年生となり、全5試合完封で大会連覇を遂げた。3連覇を目指した第31回大会(この年の校名は小倉北)は準々決勝で敗退。「スコアボードを見て、もう甲子園に来られないと思い、センチメンタルになったんですな」。グラウンドを引き揚げる際、本塁後方の土をひとつまみすくってユニホームのポケットに入れた。無意識の行動だったという。

 地元に戻ると、大会役員から速達の手紙が届いていた。「君のユニホームのポケットに大切なものが入っている」。新聞紙を広げ、ユニホームを逆さに振ると、ぱらぱらと土が落ちた。

 福嶋さんはその土を、ゴムの木の植木鉢に入れた。「苦しいときもこの木を見て、当時を思い出して頑張った。社会人として道を外さないよう私を見守ってくれました」。ゴムの木は何代目かになったが、今も北九州市の自宅の玄関先に飾っていると、野球殿堂入りした2013年に語っていた。「学校では教わらないことを甲子園で教わった。だから、私は甲子園で育てられたと言ってもいい」

 同年8月15日に甲子園で行われた表彰式。福島さんは母校の「K」マークの帽子をかぶり、思い出のグラウンドに立った。「1回目の優勝、2回目の優勝、3回目の負け。みんな思い出しました。甲子園はやっぱりいいですな。観衆が温かい。土ですか? やわらかいですな」

 球児へのエールをお願いすると、「マナー、相手への思いやり、自分に対する自信を持って頑張ってもらいたい」と言った。ただし、敗者が土を持ち帰る行為にはやや否定的で、「儀式になっている感じがする。お土産ではない。人にあげても仕方ないんだから。自分だけの思い出にしてほしい」と笑っていた。(編集委員・安藤嘉浩)

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