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決勝引き分け再試合 斎藤と田中、両者に試合後の涙なし

2020年8月19日21時14分

 史上2校目の大会3連覇を狙う駒大苫小牧(南北海道)の前に立ちはだかったのは、夏の初優勝を目指す早稲田実(西東京)だった。第1回大会から出場する伝統校。第88回大会はさらに、端正な顔立ちにハンカチを手に汗をぬぐうしぐさで人気者になった斎藤佑樹がいた。「世代最強投手」と呼ばれた駒苫の田中将大との投げ合いは37年ぶりの決勝引き分け再試合という名勝負を生み出した。

 「高校3年間でこんな良い状態はないと思っていた。ボールを思うように操れた」と斎藤は振り返る。

 準決勝まで必ず5点以上奪ってきた駒苫打線を七回まで1安打に抑え込む。香田誉士史監督は「見極めようとしたらすっとストライクを取る。打ち気になると変化球で打たされ、走者を出せばギアを上げて強い球を投げる。腹立つぐらい点をくれなかったね」。

 試合は、突如動いた。八回表、駒苫の2番三木悠也が中堅へ本塁打。「勝ったと思った。だって将大が投げているから」と主将の本間篤史。おごりではなく勝ち上がってきた形だったからだ。しかし、早実はその裏、二塁打と相手守備の乱れに乗じて1死三塁。ここで4番・後藤貴司が同点犠飛を放った。延長へ。

 ここから再び両投手が踏ん張る。斎藤は十一回表1死満塁のピンチで、三塁走者のスタートを見て、変化球の握りのまま本塁にワンバウンドさせてスクイズを外す離れ業。十五回2死からは147キロを計測する直球を披露し、甲子園をどよめかせた。「延長では気持ちが折れそうになるのを必死にこらえた。最後は点を取られたくない本能というか、全部出しちゃえって」と最後までタフだった。

 一方の田中は、大会前に胃腸炎にかかり本調子ではなかった。この試合も、持ち味のマウンドでの勇猛さより、淡々と投げ込む姿が印象的だった。十三回2死満塁をしのぎ、斎藤の熱投直後、負けのなくなった十五回裏の早実打線にも動じない。先頭に対し、2球スライダーを続けて追い込み、三振を奪う。「力んでくれれば、なんて思っていたけどクレバーだった。斎藤の投球に乗ってこなかった」と和泉実監督。引き分け。観衆5万人が、総立ちでたたえる終幕となった。

 迎えた翌日の再試合。フィナーレもまた劇的だった。早実が優位に進め、九回に斎藤が2ランを浴びるも1点リードで九回2死走者なし。ここで打者は田中。1ボール2ストライクからファウルで粘る。7球目、斎藤の渾身(こんしん)の外角直球にバットは空を切った。

 強敵を倒した感情そのままに斎藤が両拳を突き上げる。田中は、打席を去り際、ふっと笑った。悔しかった中学2年生の夏を思い出していた。兵庫県大会決勝の最終回、1点を追いかける2死満塁で右邪飛に。「最後は自分のスイングが出来たのでやりきった気持ちがあります。全部出し切ろうと思っていた。苦しいときも一緒にやってきた仲間にありがとうと言いたい」。涙を流すチームメートの肩をたたく田中の顔は晴れやかだった。=敬称略(坂名信行)

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