明石商の中森投手、強い気持ちが功を奏す 高嶋仁の目
2020年8月16日15時01分
(16日、甲子園交流試合 明石商3-2桐生第一)
明石商も桐生第一もしぶとく戦い、見応えのある好ゲームでした。
明石商のエース中森君は本調子やなかったと思います。終盤は球威も落ちて、苦しい投球内容になりました。それでも、ここ一番で見事な投球をみせます。
8回2死二、三塁で、桐生の3番広瀬智君を迎えた場面。外角の変化球をいつ投げるかと見とりましたが、強気の投球に徹しました。最後は内角の直球で空振り三振。今日一番のボールでした。もしスライダーが高く浮いたりしたら打たれとったかもしれません。バッテリーの勝利です。
その中森君に対し、桐生第一打線はどんどん向かっていった。力のある投手は向かっていかなければ打てません。序盤から臆せずバットを振っていたから、終盤の得点につながったんやと思います。
先発左腕の宮下君も粘り強い投球を見せました。ボールを長く持っとるんで、明石商の走者はなかなかスタートを切れない。
野球はどちらが多く得点できるかを競うゲームです。攻撃側は少しでも走者を本塁に近づけたい。守備側は近づけたくない。その攻防でもあります。桐生第一は宮下君を中心に、相手の進塁をなかなか許さないような守りを見せました。
だから明石商は1死からでも送りバントを使って走者を進めた。六回はスクイズも試みましたが、成功しませんでした。その直後に井上君が左前安打を打ちました。宮下君の術中にはまってしまった明石商打線ですが、ここは球をしっかり引きつけて流し打ちました。理想的な打撃です。
スクイズ失敗の直後に2点タイムリー。これは大きかった。監督としては選手に感謝です。こういうときは勝てるものです。(前・智弁和歌山監督)