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奈良)異例の夏 プレー懸命 独自大会・甲子園交流試合

2020年8月14日09時00分

 コロナ禍による春夏の甲子園大会中止を受け、奈良県独自の県高校夏季野球大会が開かれ、選抜大会に出場予定だった32校による甲子園交流試合に県から2校が出場した。甲子園につながらない県大会、勝っても負けても1試合の甲子園――。それでも選手たちは、懸命にプレーした。

 県の独自大会は決勝で天理が奈良大付を6―4で破って優勝した。5月20日に選手権大会中止が決まり、県高野連は同29日、全国的にも早い段階で独自大会開催を発表した。当初は1チーム1試合だったが、県教委、球場を利用予定だった別団体の協力などにより、6月中旬にトーナメント方式に変更された。試合は原則無観客で、入場できる保護者の数も制限された。ブラスバンドの演奏や歓声はなかったが、よく響くベンチの声からは、選手の真剣さが伝わってきた。

 天理は昨秋の近畿王者らしく準決勝まですべてコールド勝ち。決勝は序盤に下林源太主将(3年)の2点本塁打などの長打攻勢で得点。終盤に登板したエース庭野夢叶君(同)が幾度もピンチを抑えた。甲子園交流試合では広島新庄を相手に持ち前の打力を出せずに負けたが、センターラインの堅守も光った。

 優勝を逃した奈良大付は切れ目のない打線が目立った。五條との3回戦はチームで4本塁打。準決勝では6人が打点を記録し、智弁学園を下した。

 その智弁学園は甲子園交流試合では、昨秋の神宮大会優勝の中京大中京(愛知)とタイブレークの末にサヨナラで敗れる熱戦。2年生の活躍もあり、来年へ楽しみを残した。

 独自大会では公立校の活躍もあった。ベスト4の高田商は、昨夏の県準優勝に貢献したエース岩井将吾君(同)が4試合を投げ抜いた。昨秋、初戦敗退した一条は、つなぐ打線でベスト8まで進んだ。

 この夏の取材を通して、野球に費やす時間の意味を見いだそうとする選手たちの姿が印象に残った。

 一条では3年生11人のうち3人が、受験勉強に専念するため独自大会前に引退を決めた。副主将の奥田吏玖(りく)君(同)も一度は引退を決意した。選手権大会中止を知り、「何のために野球をするのか分からなくなった」。しかし父から「ほんまにこれでええんか」と問いかけられた。小さな頃からどのチームメートよりも一緒に練習してきたのが父だった。「野球ができるのは当たり前じゃない今、できるチャンスがある。やりきることで恩返しがしたい」。奥田君は部に戻り、準々決勝まで戦った。「自分のできることはしっかりできた」と晴れやかだった。

 天理の山元太陽副主将(同)は、プレーを見てもらうことで「支えてくださった方々に喜んでもらいたい」と繰り返した。桜井の鈴木祥平主将(同)は敗戦後に泣き崩れる同級生を支え、「3年生の仕事はまだある。後輩たちに最後まで先輩の姿を見せよう」と伝えていた。

 誰かのためにも、ひたむきになれる選手たちは力強かった。例年にない時間を過ごし、悩み、自分の答えを見つけたこの夏は、きっとこの先の糧になる。(平田瑛美)

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