甲子園交流試合、前半戦のポイントは 高嶋仁の目
2020年8月13日18時36分
甲子園通算68勝の名将による観戦記「高嶋仁の目」。前半戦のポイントを紹介する。
■明徳義塾6―5鳥取城北(10日)
第1日から、この熱戦。これは特別な大会やないですよ。いつもの夏の甲子園と一緒です。明徳義塾も鳥取城北も、「勝とう」「勝とう」の思いだけ。素晴らしい試合でした。
最後は1点差の九回裏、2死一、二塁から明徳の4番新沢君が逆転サヨナラ三塁打。テレビ解説をしながら、なんや涙が出てきました。これが高校野球、これが甲子園です。今年の夏も、球児がここで試合をさせてもらえて本当によかった。まるで夏の甲子園決勝のような熱戦でした。
■明豊4―2県岐阜商(11日)
明豊の川崎監督に電話したら「打撃の調子が上がってきません」と言うてましたが、いい感じで打球は上がってますね。ご存じの通り、ぼくの教え子です。中学時代からキャッチボールができる選手でした。明豊でも守りをきちんと教えているように思います。
試合は3点リードの明豊が七回に1点とったのが大きかった。県岐阜商もいい選手がいましたが、やはり休校の影響による練習不足があったのでしょう。それでも、甲子園でプレーすることができた。本当によかったと思います。
■中京大中京4―3智弁学園(12日)
対照的な両投手の投げ合い。中京の高橋君は言うことのない好素材です。あれだけの真っすぐがあれば高校生相手にそうは打たれません。智弁学園の西村君は左の打たせてとるタイプ。足の上げ方を変えたり、ボールを長く持ったり、随所で工夫が見られた。
中京は八回裏、智弁は九回表に無死一塁で、どちらも送りバントを使いませんでした。1点とれば勝てる可能性が高い状況。ええ試合やっただけに、ちょっと残念に感じました。(前・智弁和歌山監督)