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急死の父に送りかけたLINE 1年後あえて消した球児

2020年8月12日19時39分

 (12日、甲子園交流試合 中京大中京4-3智弁学園)

 甲子園交流試合で、昨夏の全国選手権に続いて甲子園に臨んだ智弁学園(奈良)は12日、中京大中京(愛知)に延長サヨナラ負けした。亡き父に「1番を取れ」と言われて育った控え投手の荒川翔太選手(3年)は、父への思いを胸に最後の試合に向かった。

 「約束は守れなかったけど、頑張ったよ」。荒川君は試合前、甲子園を見渡し、心の中でつぶやいた。

 滋賀県豊郷町育ち。2018年春、野球部の寮に入る際に両親が手伝ってくれた。父の泰治(やすはる)さんは去り際に言った。「エースになったら、またどこか一緒に行こうな」。気恥ずかしくて、相づちだけで応えた。

 その年の6月24日。東京遠征の帰りに、父が車で仕事へ向かう途中に事故に遭った、と聞いた。翌朝、病院へ急いだが間に合わなかった。42歳だった。

 野球好きの父の影響で、幼稚園から野球をしていた。父は口を開けば「練習しろ」「何でも1番を取れ」と厳しかった。いつか甲子園のマウンドに立ち、褒め言葉が聞きたかった。

 突然の別れ。練習に身が入らない。球速は約10キロ落ちた。スマートフォンで父とのLINEを開いた。「結果が出ないんだけど、どうしたらいい?」。そこまで打って、迷った。「願っても帰って来ない」。送信しなかった。泣かないと誓ったのに、涙が出た。

 父の死を実感できるようになった頃。6歳上の兄幸輝(こうき)さんの言葉を思い出した。「父さんの代わりになれるかわからないけど、頑張って支えるから、野球に集中して」

 再びエースをめざして動き出した。夜にダッシュを繰り返し、足腰を鍛えた。昨夏も甲子園でベンチ入りし、背番号は18。球速は140キロ近くまで伸びた。

 新チームが始動した昨秋、LINEの父とのやりとりを消した。「独り立ちしないといけない」

 最後の夏、背番号13で甲子園に戻ってきた。この日は息詰まる投手戦。試合中、父のメッセージが頭に浮かんだ。後輩が力投し、荒川君がマウンドに立つ機会はなかったが、九回に代走で出番がやってきた。ピッチャーライナーで一塁へ戻るも間に合わず併殺。「どんな形でも貢献した姿を見せたかった」

 もう、スマホの中の父の言葉にすがるのはやめた。試合後、「次のステージでがんばって、プロになって甲子園で投げる姿を見せたい。お父さん、これからも見守っていて」と話した。(平田瑛美)

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