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「小技」の裏に猛練習あり 後輩に背中で見せた堅守柔攻

2020年8月10日11時04分

 (9日、広島独自大会決勝 広島商9―1広陵)

 二回表、1死二、三塁。中島勇介主将(3年)が荒谷忠勝監督から受けたサインはスクイズ。気合を入れ、ヘルメットのつばをつまんだ。初球、外の直球。「甘い」。うまく転がした打球を遊撃手がつかむ隙に三塁走者が生還し、先制。結果的に内野安打となり一塁で小さく拳を握りしめた。

 1973年、夏の甲子園決勝。九回裏、劇的なサヨナラスクイズで優勝した広島商の動画を、目にしたことがある。小技が巧みな印象を持っていた。

 その小技を成功させるための練習は、「入部してみたら想像以上にすごかった」。3時間の練習をすべてバントに費やす日があった。バントを一発で決める練習が延々と続く日もあった。「堅守柔攻」にかける広商プライドをひしひしと感じた。

 休校中も週に2回、近くの部員同士が公園などに集まり、バント練習に打ち込んだ。一球一球に本気で向き合うため、「九回2死」や「1点差」など緊迫した場面を想定して臨んだ。遠くの部員とはSNSで練習動画を送り合い、モチベーションを保ち続けた。

 「甲子園の舞台に立ちたい」。野球を始めた小学1年のころから願ってきた。昨夏は甲子園のスタンドで声をからしたが敗戦。「またここに来よう」。2年生同士で誓い合った。

 その夢が絶たれ、気持ちは崩れた。だが監督や仲間と話し合い、改めて目標を定めた。「広島で1番になって、後輩に『春の選抜優勝』を託す」

 そうしてこの日まで練習を重ねてきた。つかんだ優勝の先に甲子園はない。「むなしさはある」と打ち明けるが、古豪の主将はこう言ってプライドをのぞかせた。「勝ち方は、後輩に背中で見せられた」(西晃奈)

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