石川)高校野球 7月24日
2020年7月25日03時00分
石川県高校野球大会(県高野連主催、朝日新聞社など後援)は24日、県大会4試合があった。激しい雨に見舞われ、約2時間中断する試合も出たが、球児たちは集中力を切らさず、全力でプレーした。1回戦の全試合が終わった。
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チームを楽にしたい気持ちが一振りに出た。
七回、津幡の3番打者、堂端大和(3年)は、二つの四球などで作った2死二、三塁の好機で打席に立った。「初球から打っていく」と決めていた。
守りでは、捕手として、相手の打者をよく観察。うまく配球を組み立て、相手打線を抑えた。一方、この日の打線は三回に1点先制したものの、四回以降は相手の好守にも阻まれ、走者をほとんど出せない展開。「打たずとも勝てる野球」を目指すチームとはいえ、さすがに苦しかった。
もともと長打を打つタイプではないと自覚している。だが、初球の高めに浮いた直球を思いきり振り抜くと、打球は左翼スタンドで弾んだ。「予想していませんでした」。思いもよらない本塁打だった。
監督の北橋義仁(46)の目から見れば、その打撃フォームには癖があるという。本来修正してもいいものだが、「しっかり自分で打てるボールを選んでいる。彼には打法について、あんまり話さないようにしている」。それに、大会前に太もものけがをしてしまい、先発メンバーから外れる可能性もあった。
小さな偶然の重なりが生んだ一発――。チームは一気に勝利をたぐり寄せた。
「あれで試合は楽になった」。堂端は活躍を素直に喜んだ。しかし、浮かれた気持ちはない。直前の打席は三振だった。次の試合では「着実に安打を狙う」自分に戻るつもりだ。=敬称略(三井新)