スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

豪雨被災、球児の決意「落ち込んでいたら町も暗いまま」

2020年7月22日18時00分

 熊本県南部を中心に甚大な被害をもたらした豪雨は、高校野球の日常も一変させた。校舎が浸水したり、大切なユニホームが流失したり。練習もままならないなか、熊本の被災地の球児たちはプレーで地元を元気づけたいと、独自大会での勝利をめざす。

 「昨日まで練習していた場所が……」。4日午後、芦北高校(芦北町)に駆けつけた野球部主将の橋本魁翔(かいと)君(3年)は言葉を失った。校舎の1階は胸のあたりまで浸水した痕跡があった。グラウンドには泥が積もり、悪臭が立ちこめていた。

 その日の朝、橋本君はSNSで水没した学校の写真を見た。バットやヘルメットは大丈夫か。気になって水が引いたころを見計らい、両親と車で学校に向かった。普段なら10分ほどの道のりが、渋滞や土砂崩れで1時間半ほどかかった。

 熊本では翌5日に独自大会が開幕する予定だった。新型コロナウイルスの影響による休校が6月1日に明け、野球ができるようになって間もない。幸い26人の部員の自宅は被害がなかった。「一日でも早く学校を元通りにして、練習を始めたい」と、すぐに校内の片付けを始めた。

 野球部の倉庫や部室からボールやバット、ヘルメットなどを取り出して干した。SNSで部員全員に呼びかけると、半数以上が学校の玄関や中庭の泥かきなどに参加してくれた。

 芦北町では22日午後5時までに11人の死亡が確認され、行方不明者1人の捜索が続く。橋本君の祖父母宅は床上浸水し、友人の親戚には命を落とした人もいる。熊本県高野連は8日、県大会を断念し3地区大会に変更して続行する方針を発表したが、試合ができる喜びよりも、これからの不安の方が大きかった。

 だが、学校を片付けるうちに気付いた。「自分たちが落ち込んでいたら、町も暗いままだ」。芦北高校は町内唯一の高校。これまでも、夏の地方大会の試合後には「テレビで見たよ」「頑張ってたね」と声をかけられ、地元の応援を肌で感じてきた。

 18日には部活が、20日には学校が再開した。グラウンドの泥はボランティアの人たちが取り除いてくれた。23日の初戦を心待ちにしている。「笑顔で勝利して、復旧が終わっていない人、気持ちが沈んでいる人に元気を与えたい」

 街中心部が浸水した人吉市の人吉高校。校舎には被害がなかったが、野球部員48人のうち2割ほどが被災した。隣の球磨村に住む捕手の尾崎太透(たすく)君(3年)と投手の敦太(あつひろ)君(2年)兄弟も、球磨川沿いの自宅が2階の天井まで水につかった。教科書やキャッチャーミットは水没し、ユニホームは流された。

 一時身を寄せた避難所で、自衛隊が届けたカップ麺やパンを食べ、毛布で寒さをしのいだ。太透君は「被災直後は自分や親のことで精いっぱいで、大会のことは考えられなかった」と振り返る。13日に豪雨による休校が明け、人吉市内の母親の実家から通い始めた。部活も始まったが、家のことを思うと野球に身が入らないこともあった。

 14日、原口琢磨監督(40)から思いがけないプレゼントを受け取った。被災した部員への「一緒にがんばろう」という思いを込めた新しい練習着とソックスだった。卒業生からはユニホームを譲り受けた。

 「プレーを通して、いただいた支援への感謝の気持ちを伝えたい」(太透君)。2人とも少しずつ、前を向き始めている。人吉高校も23日が初戦だ。(井岡諒)

 ■県内8高校が被災

 熊本県高野連によると、県南部では芦北と人吉のほか、南稜(あさぎり町)、球磨工業(人吉市)、水俣(水俣市)、八代清流(八代市)、八代農業(同)、牛深(天草市)の6高校で、部員の自宅が浸水するといった被害が確認された。

 この状況を受け、県高野連は5日開幕予定だった独自大会について検討。学校や部員が被災した8校からも「3年生に何とか最後の舞台を」という声が寄せられ、続行を決めた。

 8校などが出場する城南地区大会は18日に開幕した。初日の第1試合開始前には、球場にいる全員で黙禱(もくとう)し、犠牲者を悼んだ。

こんな特集も

関連記事

アクセスランキング

注目動画

一覧へ
バーチャル高校野球ではアンケートを実施しています

本日の甲子園交流試合

注目の情報