スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

副主将は女子部員 「110km出てる」力に厚い信頼

2020年7月18日15時45分

 長雨が続いた今月上旬、久々の晴れ間に、松原(大阪府松原市)の野球部員がグラウンドへ飛び出した。

 「直球いくよ!」。副主将で投手の上野那奈(なな)さん(3年)が右腕から投げ込んだ。球はグラブに吸い込まれ、鋭い音を立てた。

 部員たちが「110キロは出ているはず」と話す直球に、変化球はカーブとツーシーム。「バックを信じ、打たれても一喜一憂しない」が身上だ。

 上野さんは同部唯一の女子選手だ。普段の練習は男子と全く同じメニューをこなしてきた。「妥協しない。全力で投げても球を受けてくれるし、信頼している」。エースで主将の上岡大登(やまと)君(3年)は言う。

 女子選手は規定で公式戦には出場できない。上野さんはオープン戦や練習でマウンドに立つ。捕手の浜地凜(りん)君(2年)は「強い精神力を持っていて一番尊敬できる先輩」と話す。

 上野さんは2歳上の兄の影響で小学1年から野球を始めた。中学も野球部へ。体格が大きかったため、同級生から「大根脚」などと心ない言葉を浴びた。

 男子との体力差も痛感し始めた。長距離走では1周分の差をつけられた。ようやく走り終えた時、チームはもう次の練習に入っていた。「自分に腹が立つし、みんなに申し訳ない」。次第に練習から遠ざかった。

 高校では野球とは別の道に進もうと一度は考えた。だが、やっぱり白球を追うユニホーム姿が気になる。野球部の体験入部に選手を希望して行くと、自然に受け入れてくれた。女子でも大げさにもてはやしたり、仲間外れにされたりすることもない。「ここでなら、野球ができる」と思えた。

 中学時代の悔しさをバネに自らを鍛え直した。冬の4キロ走や、馬跳びは本当にきつかった。泣きながら続けていると、先輩や同級生たちが「頑張れ」と励ましてくれた。その優しさに触れ、また涙が出た。

 練習を重ね、鋭いライナー性の打球が飛ぶようになった。直球の球威も増した。コロナ禍での休部中も兄とキャッチボールをしたり素振りをしたりして練習を続けた。

 持田師(つかさ)監督(33)は「危険なら試合には出さない。でも上野はみんなと同じ練習量をこなす体力があり、強い打球もとれる」と評する。対外試合が解禁された今月11日に引退試合を企画し、かわち野(東大阪市)と対戦する予定だった。

 だが雨にたたられ、試合は中止に。それでも上野さんは「準備してくれただけでありがたかった。一緒にプレーしてくれた野球部のみんながいたからここまで来られた」と感謝した。

 仲間たちに「記録員としてベンチに入ってほしい」と頼まれた。でも、断った。野球の楽しさを改めて教えてくれた仲間たちと、同じユニホームを着て試合に臨みたかったからだ。

 19日の府大会初戦では、試合前に外野ノッカーを務める。「みんなが普段通りの活躍ができる環境をつくりたい」。仲間と積み重ねた日々で自信がついた。将来は女子プロ野球選手になる夢を描いている。(浅沼愛)

関連記事

アクセスランキング

注目動画

一覧へ