スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

2度の大舞台で悔やんだ球児 元五輪選手の母に恩返しを

2020年7月17日09時00分

 神戸国際大付(神戸市垂水区)の青木尚龍監督(55)は数年前、同校であった中学生の試合で、誰よりも楽しそうにプレーをしていた選手が印象に残った。

 その選手はいま、同校の主力だ。柴田大成君(3年)。名古屋市出身で、母の(旧姓小林)京子さん(48)は、1996年のアトランタ五輪のソフトボール日本代表だ。

 幼稚園の時は、迎えのバスが来る前に母とのキャッチボールで汗びっしょり。小学2年で野球を始めるとすぐに才能が開いた。

 中学はボーイズリーグの強豪「東海中央ボーイズ」で全国大会出場。地区の選抜にも選ばれた。

 神戸国際大付の練習を見て、その明るい雰囲気が気に入り、名古屋を離れることを決めた。寮生活にも興味があった。

 京子さんは賛成した。自分が高校を選んだ時、やはり両親は何も言わずに見守ってくれたから。「寮生活は大変だろうと思うけど頑張ってね」と声をかけた。

 それなりに自信はあったが、強豪チームの先輩たちは迫力があった。もともと食が細い方で、体を大きくしようと、寮で毎日1キロほどの米を食べた。

 1年の夏、夕暮れのグラウンドで青木監督が選手権大会のメンバーを発表した。「6番、柴田」。帰り道、京子さんに電話した。「選ばれたよ」。電話の向こうで母は泣いていた。

 だがその夏、待ち受けていたのは苦い結末だった。第100回記念大会の東兵庫大会の準決勝で、報徳学園とぶつかる。

 2―2で迎えた九回表、報徳の攻撃。2死一、二塁で、難しいバウンドのゴロが来た。急いで一塁に投げたが悪送球に。二塁走者が本塁にかえり、この1点にチームは泣いた。

 試合後、涙を流していると3年生の一人が近寄って来た。「その悔しさを次につなげろよ」。二度とこんな思いはしたくないと、いっそう練習に励んだ。

 2年の夏、甲子園が見えた。決勝で明石商を相手に八回まで1―0でリード。スタミナ不足で六回でベンチに退いたが、「行ける」と信じ、声を張り上げた。だが九回表、明石商は先頭打者が死球で出塁すると、一気に4点を奪った。つかみかけた切符が、あっという間に消えた。

 今年こそ。その思いは、まさかの大会中止でついえた。これからも夏が来るたびにずっと、この悔しさを思い出すに違いない。

 大会中止が決まった日、京子さんに電話した。「重ねてきた努力は、ひとつも無駄にならないよ」。京子さんはそう言って慰めたが、顔を見たらきっと何も言えないだろうと思った。

 その日、柴田君は京子さんにLINEを送った。

 「甲子園いけんくてごめんよ この恩は大学いってプロいってちゃんと返すから!」

 野球人生はまだこれからだ。次は大学野球の強豪をめざす。

関連記事

アクセスランキング

注目動画

一覧へ