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キャプテンは女子マネ 監督が感心した「不思議な力」

2020年7月17日16時30分

 昨年7月、舞子(神戸市垂水区)の教室では、新チームづくりに向けたミーティングが開かれた。

 「キャプテンは鳴滝にする」。小野賢一監督(49)が全員に告げた。2年生だった女子マネジャーの鳴滝美月さんだ。

 「やっぱり美月だったね」。マネジャー仲間の村岡茉奈さんが言った。すでに小野監督から打診があり、部内でもうわさになっていた。だが、鳴滝さんは複雑な心境だった。「選手でない自分がキャプテンになって、他の部員はどう思っているんだろう」

 同部では、プレー面を担うゲームキャプテンと部全体を率いるチームキャプテンを分けてきた。

 小野監督は、鳴滝さんの誰にでも物おじせず意見を言えるところを買っていた。それに、忘れられない出来事があった。校内であったクラス対抗の綱引き大会。鳴滝さんが「せーの!」と声を出すと、チームの男女が「せーの」と呼応し、みるみる劣勢をはね返した。「不思議な力があるもんだ」と感心した。

 約70人の部員を率いる鳴滝さんは、チーム全体を見渡すのが仕事だ。マネジャーの仕事の合間にグラウンドに出て、選手に声をかける。全員の前で「やる気がないなら来なくていいから」と怒ったことや、テストの点数が落ちている部員に「勉強が優先や」と言ったこともある。

 この1年、選手のために何ができるのか考え続けた。でも、本当に選手を支えられているのか、自信はなかった。

 新型コロナウイルス感染拡大で休校が続き、選手権大会の中止が決まった5月末。ゲームキャプテンの坂山優斗君ら3年の4人が部を引退した。

 4人とも公務員志望で、試験の準備のため時間は少しでも惜しい。「もう1カ月野球を続けたせいで、消防士になれなかったら……」。坂山君は悩んだ。会社にいた父親に電話し、引退の決断を伝えると、涙があふれてきた。

 鳴滝さんも坂山君が悩んでいるのを知っていた。「まだ引退しないでほしい」と伝えたが、彼の人生を考えると、強く引き留められなかった。いくら野球が大好きでも、別の道を選ばなければいけない時があることを知った。

 その後、坂山君からLINEが来た。「引退するわ。最後までできんのは悔しいけど、引き際は今かなって。最後まで(中略)支えてくれてありがとう。俺らのキャプテンはみーちゃんやで!」

 悲しかったけど、自分がやってきたことは間違っていなかったと思えた。「坂山には立派な消防士になって欲しい。(中略)一緒に部活できたことほんまにほんまにうれしかったありがとう!」と返した。

 引き留めることではなく、夢を応援すること。鳴滝さんも一つ、大きな選択をした。

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