スポブルアプリをダウンロードしよう

  • Sportsbull Android App
  • Sportsbull iOs App

すべて無料のスポーツニュース&動画アプリの決定版!

QRコードを読み込んでダウンロード

Sportsbull QRCode

野球できず不安…3年マネは動いた 動画がつないだ思い

2020年7月18日17時00分

 「ナイスバッティング!」。6月下旬、大阪市此花区の大阪シティ信用金庫スタジアムに歓声が響いた。大阪(同市東淀川区)の硬式野球部員たちが、新型コロナウイルスの影響で約2カ月に及んだ活動休止後、初の紅白戦に挑んでいた。

 マネジャーの佐藤裕紀子(ゆきこ)さん(3年)はベンチで、生き生きとグラウンドを駆ける部員たちを見つめていた。「またみんなが楽しそうに野球をしている姿が見られて、本当に良かった」

 唯一の3年のマネジャーとして「最後の夏」に向かうはずのここ数カ月は、思わぬことの連続だった。

 部活動は4月7日から休止された。学校も休校で、部員たちと顔を合わせることさえできなくなった。

 「みんなが元気にしているかどうかもわからない。夏の大会が中止になったら、そのまま引退になってしまうのかな」。家にいる間、不安ばかりが募った。

 野球好きな家族の影響で、子どもの頃から高校野球をテレビで見てきた。高校でマネジャーになるのは念願だった。日常に寄り添うと、部員たちが成長していく姿が間近で見られた。「みんなが笑顔でいることが幸せだった」

 もやもやした日々を過ごしていた4月下旬、SNSで「上を向いて」プロジェクトを知った。演出家の宮本亞門(あもん)さんの提唱で、著名人らが「上を向いて歩こう」を歌う動画だ。コロナ禍のなか、前を向いて進もうという人々の思いが一つになって伝わってきた。

 「私もみんなのために動画を」と思い立った。名付けて「元気で行こう!プロジェクト」だ。現役の部員たちには内緒で、この春卒業した1年上の先輩たちや、下級生のマネジャーたちに、メッセージ動画を寄せてほしいと頼んだ。

 「長い間一緒に野球をしてきた後輩たちのために」。佐藤さんの願いに、昨年主将だった保手浜陸(ほてはまりく)さん(19)は奮い立った。活動休止中もキャッチボールなどの個人練習に励む後輩たちの姿をSNSで見てきた。突然思うように野球ができなくなった彼らに思いを伝えたかった。同期27人全員が、自ら撮影したメッセージを寄せてくれた。

 5月7日、野球部のLINEグループを通じ、動画が部員たちに届いた。

 「いま練習ができず不安に思っている人も多いと思います。でも、絶対大丈夫。最後まで全力! 笑顔で乗り越えましょう」と佐藤さん。後輩マネジャーや卒業生らが続いた。

 「夏、みんなの成長した姿を見られるのを楽しみにしています」「やまない雨はない」「誰ひとり欠けること無く、練習に全員が参加できるようにステイホーム頑張って」。動画は全部で16分間に及んだ。

 エースの前田琉成(りゅうせい)君(3年)は胸を熱くした。「一時はもう引退だと思っていた。みんなの顔が見られて元気が出た」。ほかの部員たちも「不安なとき、励みになった」「この恩を結果で返すためにがんばりたい」と感想を寄せた。

 5月20日、第102回全国高校野球選手権大会と大阪大会の中止が決まった。福原和行監督(56)はグラウンドに3年生19人を集め、「部活動を続けるか」と聞いた。全員が口をそろえた。「最後までやる」

 「思いが通じた」。佐藤さんは感じた。

 福原監督は3年生が夏を迎えずに去ることも覚悟していた。「いろいろな思いがあったかもしれないが、佐藤の気持ちが伝わったのだと思う。彼女が部員たちをつないでくれている」

 この夏の初戦は19日、対豊島と決まった。佐藤さんは初めて入る夏のベンチで、選手たちの全力プレーを支えるつもりだ。(浅沼愛)

関連記事

アクセスランキング

注目動画

一覧へ