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選抜出場、選ばれたのは決勝で破った相手 挫折乗り越え

2020年7月10日21時15分

 藤枝明誠(静岡)の3年生にとって甲子園は特別な存在だ。進学を控えた中学3年生の時、先輩たちが創部以来初の甲子園出場をつかんだ。聖地で躍動する姿に憧れて入部したのが村松杏都主将率いる今の3年生23人だ。

 今年の藤枝明誠は、昨夏もメンバー入りした選手が多く、実力は歴代トップクラス。昨秋の県大会では加藤学園を決勝で破って優勝。東海大会でもベスト4まで勝ち上がった。

 東海大会準決勝で敗れた中京大中京(愛知)が明治神宮大会で優勝し、東海地方の選抜大会出場枠が一つ増えた。選ばれたのは、同じ東海大会ベスト4の加藤学園だった。「なんで俺らじゃないんだ……」。県大会決勝で直接勝っている相手だけに悔しさが募った。

 チームはそこから劇的に変わった。なぜ自分たちが選ばれなかったのか。生活や授業態度を一から見つめ直し、あたり前のことをあたり前にできるチームをめざした。「夏こそは必ず甲子園に!」。強い気持ちで練習に取り組んできた。

 しかし、新型コロナウイルスの流行で、夏の甲子園は中止となり、「甲子園で勝つ」という目標は失われた。「夏にかける思いは、どのチームよりも強かった。現実を受け入れられない」。村松主将は話した。

 それでもチームに下を向く選手はいなかった。ミーティングを重ね、もう一度みんなで野球に向き合い、最後まで全力で戦い抜くことを決めた。県独自の大会が開催されることを信じ、2日後からいつも通りの練習に取り組んだ。

 藤枝明誠の練習着の背中には代々受け継がれてきた言葉がある。

 一心

 「一人一人の心を鍛え、鍛えた心を一つにして戦う」。光岡孝監督が就任以来、掲げる言葉だ。村松主将は「大会で優勝し、この世代は藤枝明誠が1番だということを証明したい」。

 今年の藤枝明誠のメンバーは、ブルペン捕手以外、すべて3年生だ。25番はマネジャーの小泉香菜枝さん(3年)がつける。光岡監督は「優勝に少しでも近づくためには、技術よりも気持ちの面が大切」と話す。

 3年生を中心に、2度の挫折を乗り越え、部員全員が新たな目標に再び心を一つにした。

 球児たちの熱い夏が今年も始まる。(和田翔太)

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